カメレオンの目の疾患~目を閉じている/腫れている

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眼疾患

カメレオンの眼疾患は『閉瞼している』『腫れている』いう主訴が多いです。カメレオンは昼行性であるため、健常個体は日中目を閉じることはなく、常に周囲を察知するために開いて動かしています。閉瞼の時間が長いあるいは常に閉瞼している時は病気の可能性が高いです。

突出した目は眼瞼で覆われているため、腫れている状態も初期は分かりにくいかもしれません。小孔から目視できる目から赤色に腫脹した結膜が確認された場合は結膜炎、角膜が白濁していると角膜疾患で、眼脂な流涙の有無も確認できます。閉瞼は結膜炎角膜疾患で起こります。

 

腫大しているのは、膿瘍涙腺腫脹の可能性が高いです。なお、ディフェンバギアなどのシュウ酸塩を多く含む観葉植物との接触による結膜炎や〔Coke et al.2002〕、腫瘍(扁平上皮癌)での結膜腫脹〔Abou-Madi et al. 2002〕の報告もあります。また、カメレオンはストレスが最高段階に達すると閉瞼することが稀にあります。

  目が窪んでいる?

特に突出した目が窪んで閉瞼していることもあり、これは病気による衰弱あるいは脱水症状の兆候になります。いずれにせよ衰弱や脱水の際には、目が窪んでいる以外にも、活動性も低下しています。

食欲に影響しないのか?

カメレオンは目で獲物を確認して舌を伸ばして捕獲するために、視力や視覚のトラブルで採食が上手くできなくなります。

検査と治療

カメレオンは開眼しての検査および点眼することが容易ではありません。症状に合った治療を行わないといけません。

参考文献
■Abou-Madi N,Kern TJ.Squamous cell carcinoma associated with a periorbital mass in a veiled chameleon (Chamaeleo calyptratus).Vet Ophthalmol5(3):217-220.2002
■Coke RL,Couillard NK.Ocular and diseases of Old World chameleons. Vet Clin North Am Exot Anim Pract5(2):275-285.2002

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。