チンチラの胃のうっ滞・毛球症〔Ver.2〕急死することもある!

チンチラも毛球症になる

チンチラが毛づくろいをした毛が胃の中で貯まり、餌や異物などが絡んで、胃のうっ滞や毛球が形成されます。チンチラは嘔吐ができないため、消化管の内容物の通過障害が起こり、食欲が低下します。また、物をかじる力が強く、プラスチックの餌入れや小屋をかじるとその欠片が胃につまり、うっ滞や毛球の形成に関与します。しかし、チンチラの胃のうっ滞・毛球症はウサギのように多発するものではありません。被毛が細いことも関与しているのかもしれません。

症状は?

食欲が低下し、糞も軟便・下痢になったり、最終的に排泄がなくなります。胃腸にガスがたまることもあり、お腹だけ大きくなります。次第に元気もなくってきます。毛球ができて完全に詰まると腹痛が見られ、ショック状態に移行して急死することもあります。

チンチラ腹部膨満

検査は?

X線検査で胃の拡大を確認し、詰まっているかの有無は造影X線検査で判断します。

チンチラ毛玉レントゲン

 チンチラ毛玉造影レントゲン

胃内の異物の詳細はCT検査で診断します。

治療は?

胃を動かす薬を投与して、脱水している場合は補液を行います。腹痛があれば鎮痛剤を投与し、完全閉塞であれば、外科的に毛玉を摘出する手術を行います。

チンチラ手術

予防あるの?

主食を繊維質の多い牧草にし、胃腸の動きが低下しないようにしましょう。普段から砂浴びをしっかりさせて毛がもつれないようにしないと、もつれた毛をなめとって胃につまります。その他、ストレスで毛をかんでしまうこともありますので、ストレスがない環境にしましょう。たくさん運動することはストレスも減り、胃腸の動きもよくなります。下記のような身体に吸収しない鉱質油の毛球を排泄させるサプリメントも有効です。

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これがポイント

●口にした毛、かじった小屋やトイレなどが胃の中でかたまったり、つまったりします。
●胃が膨らむのでお腹が張ってきます。
●完全につまると腹痛が見られます。
●レントゲン検査をしないと判断できません。
●薬でよくならない時は、麻酔をかけて外科手術になります。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。