専門獣医師が解説する鳥の脂肪腫〔Ver.2〕脂肪のかたまり・・・

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脂肪のかたまり?

脂肪腫は脂肪の良性の腫瘍で、いわゆる脂肪のかたまりです。肥満の鳥に好発し、通常の脂肪よりやや黄色味が強く見えます。初期はとても発見が難しいです。

セキセイインコ脂肪種

胸とお腹にできる?

脂肪腫は胸部と腹部に発生し、胸部の脂肪腫はエサを食べて膨らむそのうと間違いやすくなります。

セキセイインコ脂肪腫

腹部の脂肪腫も羽毛で隠されて、一見すると分かりにくいかもしれません。

セキセイインコ脂肪種

見かけでは分からない?

下のインコを見ると、体のシルエットが少し膨らんでいます。鳥を捕まえて、羽毛をかき分けて触らないと発見は難しいです。

セキセイインコ脂肪種

原因は食べすぎだけではない!

原因は過食によるカロリー過多と考えられていますが、セキセイインコやブンチョウでは甲状腺機能低下症で、代謝の低下により脂肪が沈着しやすくなり、肥満になることが発生要因の一つです。他にも脂肪肝も併発しているでしょう。下のインコの羽はボサボサしており、甲状腺機能低下症ならびに脂肪肝による羽毛形成不全が起こっているのでしょう。

セキセイインコ触診

予防は?

カロリー摂取を抑え、部屋の中での放鳥して運動量を増やすようにして下さい。完全に脂肪腫がなくなるわけではありませんが、大きくなるのを防ぎ、小さくなることもあります。過食をさせないことはもちろんですが、特にエゴマやナタネなどの油種子はカロリーが高いので控えます。インコの好物であるカナリーシード少なくしてあげましょう。

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野菜を多く与えることも、カロリー摂取を抑えることができます。ミックスシードを給餌している場合は、どの種子を食べているのか選別も難しいです。甲状腺機能低下症も予防するためにシードからペレットに変えて、さらにカロリーが少ないメーカーの商品を主食にしましょう。

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これがポイント!

・脂肪腫は胸腹部に形成される良性腫瘍
・カロリー過多と運動不足が原因
・代謝低下を起こす甲状腺機能低下症が関与

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。