【病気】ヒョウモントカゲモドキの顔面膿瘍

発生

獣医療の現場では、特に顔面、眼の周囲、顎部に膿瘍を呈するヒョウモントカゲモドキの症例が頻繁に報告されています。これらの症例の多くは、不適切な飼育管理に起因するストレスや免疫抑制と関連付けられています 。

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原因

具体的には、以下のような要因が考えられます。

細菌感染

ケージ内の不衛生、不適切な温度・湿度管理、ストレス、他の個体との喧嘩やケージ内の鋭利なものでできた外傷などによって皮膚のバリア機能が低下したり、免疫力が落ちたりすると、細菌が侵入しやすくなります。

口内炎(マウスロット)の波及

口腔内に発生した細菌感染(口内炎)が重症化すると、感染が顎の骨や周辺の組織、さらには目の奥や耳管にまで広がることがあります。これにより、顎の下や顔の脇、目の周囲が腫れて膿瘍となることがあります。

中耳炎

口内炎などから細菌が耳管を通って中耳に入り込み、中耳炎を起こすことがあります。これにより耳のあたりが腫れ、膿瘍が形成されることがあります。

涙腺や唾液腺の感染

目の近くが腫れている場合、涙腺や唾液腺が細菌感染を起こし、膿瘍となっている可能性も考えられます。

栄養の不均衡

不適切な食事は、健康な組織を維持し、免疫応答を行うための身体能力を直接的に損ないます。一般的な栄養失調は個体を衰弱させ 、特にビタミンAやカルシウムといった必須栄養素の欠乏は、膿瘍形成の主要な素因となります。   

 治療

顔の脇に腫れやしこりを見つけた場合、自然治癒することは難しく、放置すると悪化して全身に感染が広がったり、骨融解をする危険性があります。蓄膿した場合、切開して固まった膿を摘出したり、洗浄したりする処置や、抗生剤の投与などの治療が行われます。

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爬虫類臨床の最終章!

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。