はじめに
ウサギは、伴侶動物、展示動物、および実験動物として広く普及しており、その臨床医学的需要は年々高まっています。特にオスのウサギの生殖器疾患は、未去勢個体において健康維持や行動管理の観点から極めて重要な課題です。ウサギの精巣および精巣上体は、他の哺乳類とは異なるユニークな解剖学的・生理学的特徴を有しており、これが特定の疾患の発生機序や診断アプローチに深く関与しています。
解剖と生理
ウサギの精巣疾患を深く理解するためには、まずその特異な構造を把握する必要があります。ウサギの鼠径管は一生を通じて閉鎖することがなく、精巣は腹腔内と陰嚢の間を自由に行き来することが可能です 。この特徴により、ウサギは機能的陰睾としての側面を持ち、低温環境や恐怖を感じた際、あるいは麻酔下において精巣を腹腔内に退縮させることがあります。

精巣自体は細長い形状をしており、その尾側極には精巣上体が位置します。精巣上体は精子の成熟と貯蔵を担う重要な器官であり、偽重層円柱上皮によって裏打ちされています〔Hamzah et al.2023〕。また陰嚢の皮膚は極めて薄く繊細であり、外科的処置の際には慎重な取り扱いが求められます。

| 項目 | パラメータ | 備考 |
| 寿命 | 6~8年 | 飼育環境により変動 |
| 性成熟(小型種) | 4~5ヵ月 | 品種による差異 |
| 性成熟(大型種) | 5~8ヵ月 | 体重に依存 |
| 推奨去勢時期 | 3ヵ月以降 | 精巣降下確認後 |
| 精巣降下時期 | 10~12週齢 | 個体差あり |
| 直腸体温 | 37.8~39.4℃ | 環境温度に敏感 |
発生および疫学的背景
ウサギの精巣疾患の発生率は、飼育環境や去勢の有無に大きく左右されます。一般的な腫瘍性疾患の発生率は、全ウサギ集団の0.5%から2.7%程度と報告されていますが、2歳を過ぎるとその発生率は1.4%から8.4%へと顕著に上昇します 。6歳以上の高齢ウサギにおける腫瘍全体の有病率は75%に達するというデータもあり、加齢は生殖器疾患の最大のリスク要因と言えます〔Hill et al.2024〕 。
年齢と品種による発生
ウサギの疾患発生には、年齢と品種が密接に関係しています。先天的な異常である隠睾は出生直後から確認可能ですが、腫瘍性疾患は主に2歳以上の成体で認められ、5歳から8歳前後で診断されるケースが多く見られます〔Hill et al.2024〕。一方で、リンパ腫などは2歳未満の若齢個体でも発生することが知られています〔Webb et al.2018〕。品種による特異的な精巣疾患の素因については、子宮腫瘍におけるダッチ種のような明確なエビデンスは乏しいものの、ライオンヘッドやドワーフ種などのペットウサギにおいて、外科的生検を必要とする生殖器病変が多く報告されています。ネザーランド・ドワーフなどの小型種は鼻涙管閉塞や不正咬合を起こしやすいですが、これに伴う二次的な全身疾患が生殖機能に影響を与える可能性も考慮すべきです〔Hill et al.2024〕 。
隠睾(停留精巣)
隠睾は片側または両側の精巣が、種としての正常な時期までに陰嚢内に定着しない状態を指します。ウサギでは腹腔内、鼠径管内、あるいは皮下が主な停留部位となります 。


精巣異形成症候群(TDS)
近年の獣医学では、隠睾を単なる解剖学的な配置ミスではなく、精巣異形成症候群(Testicular Dysgenesis Syndrome:TDS)の一環として捉える動きがあります〔Amann et al.2007〕。胎児期の発達障害として、精巣内でのセルトリ細胞やレイディッヒ細胞の分化が適切に行われないことが根本的な原因とされます。これにより、精巣降下に必要なインスリン様ペプチド3(Insl3)やテストステロンの分泌が不足します〔Amann et al.2007〕 。また、妊娠中の母ウサギがエストロゲン様物質や抗アンドロゲン剤などの環境汚染物質に曝露されることで、胎仔の精巣発達が阻害される可能性が指摘されています〔Amann et al.2006〕。停留した精巣は、高い腹腔内温度に晒されることで精子形成能が著しく低下します。また、正常な位置にある精巣と比較して、腫瘍化のリスクが有意に高まることが示唆されています。
感染・炎症性疾患
精巣および精巣上体の炎症は、ウサギにおいて稀ではありますが、発生した場合には致命的な経過をたどることがあります 。
細菌性精巣炎・精巣上体炎
主な原因菌はPasteurella multocidaおよびStaphylococcus aureusです。これらは血行性に播種されるか、あるいは咬傷などの外傷を介して侵入します。感染は急速に進行し、膿瘍形成や虚血性壊死を招きます。ウサギの膿は非常に粘稠であり、自然に排出されることはなく、周囲組織を圧迫し破壊します。炎症が精索に及ぶと精索炎となり、全身性の敗血症や多臓器不全のリスクが高まります。陰嚢の顕著な腫脹、熱感、疼痛、発赤が認められます。患部を気にして舐める動作や、跛行が見られることもあります。触診に加え、超音波検査で精巣実質の不均一性や陰嚢水腫を確認します。針吸引による細胞診は膿瘍の特定に有効ですが、汚染の拡大には注意が必要です。重度の場合は外科的な去勢術が第一選択です。特に壊死が認められる場合は、健全な組織を含めて広範囲に切除する必要があります。術前後の鎮痛管理と適切な抗生物質の投与が不可欠です。


精巣腫瘍
ウサギの精巣腫瘍は、雄ウサギの生殖器腫瘍の中で最も一般的な形態ですが、ウサギ全体の腫瘍発生率の中では、メスの子宮疾患やリンパ腫、乳腺腫瘍と比較して低い割合に留まってきました 。しかし、高齢の未去勢雄ウサギに限定すると、その重要性は無視できないものとなります。ウサギにおける精巣腫瘍の有病率は、研究により 0.5~2.7%程度と推定されています 。ある回顧的研究によれば、精巣に関連する病変で提示されたウサギのうち、腫瘍が占める割合は約1.93%であったと報告されています 。これらの数値は、イヌにおける精巣腫瘍の発生率(雄の腫瘍の5~15%)と比較すると低いように見えますが、近年の診断技術の向上により、潜在的な症例がより多く発見されるようになっています 〔Abbate et al.2023〕。
Abbate JM et al.Cutaneous Malignant Melanoma with Testicular Metastases in a Wild Rabbit (Oryctolagus cuniculus).Vet Sci10(7):471.2023
ウサギで報告される精巣腫瘍には、主に顆粒細胞腫、間質細胞腫、セミノーマ、セルトリ細胞腫が含まれます。近年の組織病理学的な再評価により、腫瘍型の分布に関する認識は大きく変化しています。
| 腫瘍型 | 推定発生割合 | 主な特徴 |
| 顆粒細胞腫 (GCT) | 63~71% | 近年、ウサギで最も一般的と再定義された |
| セミノーマ (SEM) | 14% | 生殖細胞由来、管内型とびまん型に分類 |
| 間質細胞腫 (ICT) | 12% | ライディッヒ細胞由来、かつて最多とされていた |
| セルトリ細胞腫 (SCT) | 7% | 支持細胞由来、エストロゲン産生を伴う場合がある |
| その他 | 2~4% | ミクソサルコーマ、テラトーマ、混合腫瘍など |
歴史的には間質細胞腫が最も一般的であると記載されてきましたが、最新の回顧的調査では、顆粒細胞腫が全体の6割以上を占めることが明らかになっています。これは、過去に顆粒細胞腫が間質細胞腫と誤認されていた可能性を示唆しています〔Reineking W et al.Predominance of Granular Cell Tumours among Testicular Tumours of Rabbits (Oryctolagus cuniculi f. dom.).J Comp Pathol173:24-29.2019,Peckham C et al.Simultaneous granular cell tumor and seminoma in the descended testis of a cryptorchid rabbit.Can Vet J 2024 Jul;65(7):703–706.2024〕 。
Reineking W et al.Predominance of Granular Cell Tumours among Testicular Tumours of Rabbits (Oryctolagus cuniculi f. dom.).J Comp Pathol173:24-29.2019
Peckham C et al.Simultaneous granular cell tumor and seminoma in the descended testis of a cryptorchid rabbit.Can Vet J 2024 Jul;65(7):703–706.2024
年齢とリスク要因
精巣腫瘍の発生は加齢と密接に関連しており、平均発生年齢は 7.5$歳前後とされています 。具体的な報告例でも、多くは6~10歳、時には 14$歳を超える高齢個体での発症が目立ちます 。ウサギは6歳を過ぎると腫瘍性疾患の罹患率が 47.2%にまで上昇する報告もあるため、この年齢層の未去勢個体は高リスク群として管理する必要があります。
停留精巣(隠睾)の影響
ウサギの精巣は通常、生後 $12$ 週間までに陰嚢内へ降下します 。この降下プロセスが不完全な「停留精巣」は、腫瘍化の強力な誘因となります 。停留精巣が腫瘍化しやすい理由として、陰嚢と比較して腹腔内や鼠径部の温度が高く、この熱ストレスが細胞の異常増殖や変性を促すことが挙げられています 。
また、停留精巣は「精巣発育不全症候群(Testicular Dysgenesis Syndrome: TDS)」の一環として捉えられることもあります 。TDSは、胎子期の遺伝的要因や環境化学物質への曝露により、ゴノサイト(生殖原細胞)が正常な精原幹細胞へ分化できず、将来的な腫瘍形成の下地となる病態です 。ウサギにおいては、腹股溝管が一生を通じて閉鎖しないという解剖学的特徴があり、精巣が腹腔と陰嚢を自由に行き来できるため、これが診断や病態の把握を複雑にする要因となります 。
病理組織学的特性と鑑別診断
ウサギの精巣腫瘍の組織学的な分類は、イヌやヒトの分類基準をモデルにしていますが、ウサギ特有のニュアンスが存在します。
顆粒細胞腫(GCT)の再評価
近年の研究で最も重要な発見は、ウサギにおける顆粒細胞腫の優位性です 。 組織学的には、豊富なエオシン好性で微細な顆粒状の細胞質を持つ多角形細胞が、シート状または索状に増殖します 。 この腫瘍は、通常の $H\&E$ 染色では間質細胞腫(ライディッヒ細胞腫)と極めて類似しているため、正確な診断には特殊染色や免疫組織化学(IHC)染色が不可欠です 。
| 診断手法 | 顆粒細胞腫 (GCT) の反応 |
| PAS反応 | 陽性(細胞質内の顆粒が染色される) |
| Periaxin | 陽性 |
| S100 蛋白 | 陽性 |
| 透過型電子顕微鏡 | 細胞質内にライソゾーム由来の顆粒を認める |
間質細胞腫(Leydig cell tumor)
間質細胞腫は、テストステロンを産生するライディッヒ細胞に由来します。 肉眼的には、精巣実質内に境界明瞭な黄褐色から茶褐色の結節を形成し、しばしば出血や壊死を伴います 。 組織学的には多角形の腫瘍細胞が充実性に増殖し、少量の線維性間質によって区切られます 。多くの症例は良性の経過を辿りますが、巨大化して周囲組織を圧迫することがあります。
J Vet Med Sci
. 2018 Dec 12;81(2):186–189. doi: 10.1292/jvms.18-0573
Leydig cell tumor in an Amur tiger (Panthera tigris altaica)
Risako KAWATA 1, Tatsuhito II 1, Tatsuya HORI 2, Yukino MACHIDA 1, Kazuhiko OCHIAI 3, Daigo AZAKAMI 4, Toshiyuki ISHIWATA 5, Masaki MICHISHITA 1,*
セミノーマ(精上細胞腫)
生殖細胞由来の腫瘍であり、ウサギでは「管内型(intratubular)」と「びまん型(diffuse)」の $2$ つの形態が知られています 。
- 管内型: 腫瘍細胞が精細管の境界内に留まり、正常な精上皮を置換します 。
- びまん型: 精細管を破壊し、実質全体を均一な腫瘍細胞シートが覆います 。 腫瘍細胞は大きく、核は円形で明瞭な核小体を持ち、細胞分裂像が多く見られることが特徴です 。
- Bilateral Testicular Seminoma in a Rabbit ( Oryctolagus cuniculus)
- October 2010
- Journal of Exotic Pet Medicine 19(4):304-308
- DOI:10.1053/j.jepm.2010.10.010
- Authors:
- Nuno Alexandre
セルトリ細胞腫(Sertoli cell tumor)
精細管を支持するセルトリ細胞に由来し、ウサギでは停留精巣に伴って発生する傾向があります 。 組織学的特徴として、腫瘍細胞が柵状に配列し、精細管様の構造を維持する様子が観察されます 。また、偽ロゼット構造やカルス・エクスナー(Call-Exner)様小体に似た構造が見られることもあります 。IHC染色では、Vimentin、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、Cytokeratin AE1/AE3、Desminなどに対して陽性を示します 。
Open Vet J
. 2018 Jul 29;8(3):250–255. doi: 10.4314/ovj.v8i3.4
Sertoli cell tumour in a pet rabbit (Oryctolagus cuniculus): histological and immunohistochemical characterization
Barbara Banco 1,*, Diana Binanti 2, Valentina Penna 3, Valeria Grieco 1
臨床症状と身体的変化
精巣腫瘍の臨床提示は、物理的な腫大によるものと、内分泌学的な影響によるものに大別されます。
局所的な腫大と触診所見
最も典型的な症状は、陰嚢の不規則な腫大、または腹腔内・鼠径部の質量として触知される腫瘍です 。 腫瘍化した精巣は硬く、非対称に拡大します。興味深いことに、多くの症例では腫瘍化した精巣の対側にある正常な精巣が著しく萎縮(Atrophy)していることが観察されます 。これは、腫瘍細胞が産生するインヒビンやエストロゲン、あるいはテストステロンによる負のフィードバックが下垂体に作用し、性腺刺激ホルモンの分泌を抑制するためと考えられます〔Mack et al.2021〕。
Mack ZE et al.Pathology in Practice.Journal of the American Veterinary Medical Association06.2021
雌性化症候群(Feminization)
特にセルトリ細胞腫において、エストロゲンの過剰産生に伴う「雌性化」が認められることがあります 〔Mack et al.2021〕。
- 乳腺腫脹: 雄でありながら乳頭が発達し、乳腺組織が触知可能になります 。
- 皮膚・被毛の変化: 体幹部や側腹部の左右対称性脱毛、黒ずみ(色素沈着)が見られます 。
- 行動の変化: 性的な攻撃性の低下、あるいは逆に異常なマウンティング行動など、ホルモンバランスの崩壊に起因する行動異常が報告されています 。
診断学的アプローチ
診断は身体検査から始まり、画像診断を経て、最終的には組織病理学的検査によって確定されます。
細胞診の限界
超音波ガイド下での細針吸引(FNA)による細胞診も試みられますが、ウサギの精巣腫瘍、特にセミノーマや間質細胞腫は細胞の剥離性が低いことがあり、採取されたサンプルが血液成分のみで診断に至らないケースもしばしば経験されます 。したがって、FNAの結果が陰性であっても、臨床的に疑わしい場合は外科的摘出と組織病理検査を優先すべきです。
転移の挙動と予後
ウサギの精巣腫瘍の多くは低悪性度であり、適切に切除されれば予後は極めて良好です。
転移の頻度と経路
転移は比較的稀ですが、発生する場合はリンパ行性および血行性の両方のルートを辿ります。
- リンパ節転移: 腰下リンパ節や鼠径リンパ節が初めに侵されます 。
- 遠隔転移: 肺が最も一般的な転移先ですが、肝臓、脾臓、腎臓、あるいは脊椎への転移報告も存在します 。 セミノーマは他の腫瘍型と比較して転移の報告がやや多い傾向にありますが、それでも全体的な転移率は低いとされています 。一方、陰嚢皮膚の悪性メラノーマが精巣へ浸潤・転移するという特殊なケースも報告されており、皮膚病変との鑑別には注意を要します 。
予後の指標
手術単独での予後は良好であり、腫瘍が精巣被膜内に限局していれば、切除によって完治が期待できます。術後の生存期間中央値は $599$ 日を超え、多くは腫瘍そのものではなく寿命や他の老齢性疾患で死亡します 。ただし、転移が確認された症例や、セルトリ細胞腫による重度の骨髄抑制を伴う症例では、予後は慎重から不良となります 。
ウサギの精巣腫瘍は、組織学的な再評価によりその分類が更新されています。かつてはレイディッヒ(間質)細胞腫が最多とされていましたが、現在では顆粒細胞腫(Granular Cell Tumor; GCT)が最も多くを占めることが判明しています〔Webb et al.2018,Maratea et al.2007〕 。

精巣顆粒細胞腫(GCT)
精巣腫瘍の約63%を占め、2歳から12歳のウサギで発生します〔Webb et al.2018〕 。腫瘍細胞は多角形で、細胞質内に豊富な好酸性顆粒を有します。良性の経過をたどることが多く、転移は稀です。H-E染色だけではレイディッヒ細胞腫との鑑別が難しいため、PAS染色を実施することが推奨されます。GCTはPAS陽性を示します。外科的摘出(去勢)により良好な予後が得られます。生存期間中央値は599日以上とされています〔Webb et al.2018〕 。
レイディッヒ細胞腫
PAS染色陰性の腫瘍で、ホルモン(アンドロゲンやエストロゲン)を産生することがあります。時に女性化乳房を引き起こすことが報告されています 〔Webb et al.2018〕。
セルトリ細胞腫
ウサギでの発生は稀で、ホルモン分泌により左右対称性の脱毛や皮膚の黒ずみ(過色素沈着)を伴うことがあります〔Webb et al.2018〕 。
セミノーマ(精上細胞腫)
胚細胞由来の腫瘍で、放射線治療に対する感受性が高いことが知られています 。高齢のウサギにおいて、精巣の無痛性腫大として発見されます。
鼠径および陰嚢ヘルニア
ウサギの開存した鼠径管を通じて、腹腔内容物が陰嚢内に脱出する病態です。網膜、小腸、そして特に重要なのが膀胱の嵌入です。膀胱がヘルニア嚢内に脱出すると、尿の停滞が起こり、膀胱炎や膀胱結石を併発しやすくなります。嵌入した腸管が絞扼(締め付け)されると、虚血性壊死を起こし、緊急の外科処置が必要となります。 陰嚢部の軟らかく変動性のある膨らみが見られ、膀胱が含まれる場合、腹部触診で通常の膀胱が触知できなくなります。超音波検査および造影X線検査が有効です。治療は外科的な還納と、鼠径輪の縫合閉鎖を伴う去勢術が行われます〔Thas et al.2013〕。
環境要因と精巣機能:熱ストレス
ウサギは熱放散能が低く、高温環境は精巣機能に直接的なダメージを与えます。30℃を超えるような環境下では、酸化ストレスが増大し、精細胞のアポトーシスが誘導されます 。これにより、精子の運動率低下や死精子率の上昇、さらにはDNAダメージが生じます〔El-Kholy et al.2021〕 。
診断・検査
左右の精巣のサイズ、硬度、可動性を評価します。ウサギを「お座り」の姿勢にさせることで、精巣が陰嚢内に降りやすくなります 。細胞診/組織診: 最終的な確定診断のために実施されます。
外科的治療
治療の核となるのは去勢術です。ウサギにおいては閉鎖法が強く推奨されます。これは総鞘膜を切開せずに一括して結紮する方法で、術後の鼠径ヘルニア発生を防ぐのに極めて有効です。
【手術】ウサギの去勢手術の解説はコチラ
参考文献
- Amann RP,Veeramachaneni DNR.Cryptorchidism in common eutherian mammals.Reproduction (2007) 133 541–561
- Amann RP et al.Cryptorchidism and associated problems in animals.Anim. Reprod., v.3, n.2, p.108-120, April/June. 2006
- El-Kholy KH et al.Physiological response, testicular function, and health indices of rabbit males fed diets containing phytochemicals extract under heat stress conditions.J Adv Vet Anim Res8(2):256–265.2021
- Hill et al.Neoplastic and non-neoplastic lesions in biopsy samples from pet rabbits in Hong Kong: a retrospective analysis, 2019-2022.J Vet Diagn Invest36(5):701–710.2024
- Hamzah RK et al.Histological Study of Alteration in Testes and Epididymis of Domestic Rabbits Caused by Tribulus Terrestris and Vitamin E.Arch Razi Inst;78(4):1239–1246.2023
- Maratea KA et al.Testicular Interstitial Cell Tumor and Gynecomastia in a Rabbit.Veterinary Pathology 44(4):513-517.2007
- Thas I et al.Six cases of inguinal urinary bladder herniation in entire male domestic rabbits.Journal of Small Animal Practice 54(12).2013
- Webb JK et al.Characterization of Testicular Granular Cell Tumors in Domestic Rabbits (Oryctolagus Cuniculus)Journal of Exotic Pet Medicine 29.2018Journal of Exotic Pet Medicine 29.2018