ウサギの薬用量

投稿日 2025年12月31日
著者霍野晋吉
カテゴリー未分類
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抗生物質

ウサギにおける抗菌薬使用は、常に腸毒血症（Eのリスクを伴います。経口投与においては、特定のスペクトルを持つ薬剤を厳格に避ける必要があります。

薬剤名	投与量 (mg/kg)	投与経路	頻度	参考文献
エンロフロキサシン	5～20	PO　SC	SID-BID	Rabbit Welfare ⁶ Provet ¹ Hedley J et al.2023 RWAF
マルボフロキサシン	2–10	PO, SC, IV	q24h	Hedley J et al.2023 Research Animal Formulary ⁶, VeterianKey
メトロニダゾール	20–40	PO, SC	q12h	Hedley J et al.2023 Irish Wildlife Matters ³ Irish Wildlife Matters
アジスロマイシン	15–30	PO	q24h	Hedley J et al.2023 Rabbit Welfare ⁵, VeterianKey
TMPS (トリメトプリム/スルホンアミド)	30–40	PO, SC	q12h	Hedley J et al.2023 Irish Wildlife Matters ³ Irish Wildlife RWAF
ドキシサイクリン	2.5–5	PO	q12h	Provet ¹, Rabbit Welfare ⁵, MDPI Antibiotics Provet ¹, Rabbit Welfare ⁵ MDPI , RWAF Hedley J et al.2023
ペニシリンG	40,000–60,000 IU/kg	SC	q24h–q7d	Hedley J et al.2023 Irish Wildlife Matters ³
セファレキシン	15–20	SC	q12h	Hedley J et al.2023 Provet ¹,
クロラムフェニコール	30–50	PO, SC, IM	q12h	Provet ¹, BSAVA MSD Provet ¹, MSD Hedley J et al.2023
アミカシン	8–16	IM, SC, IV	q24h	Hedley J et al.2023 VIN, VeterianKey
ゲンタマイシン	4–8	SC, IM, IV	q8–24h	Hedley J et al.2023 Irish Wildlife ³, VeterianKey, MediRabbit
オキシテトラサイクリン	15–50	PO, SC, IM	q12–24h	Hedley J et al.2023 Irish Wildlife ³, VeterianKey, MediRabbit
アモキシシリン/クラブラン酸	7	SC	q24h	Hedley J et al.2023 MediRabbit (注：非経口のみ)
セフタジジム	50–100	IM, SC, IV	q3–12h	Hedley J et al.2023 VeterianKey
セフトリアキソン	40	IM	q12h	VeterianKey
フロルフェニコール	25–30	PO, IM, IV	q6–8h	Hedley J et al.2023 ResearchGate, VeterianKey, AJVR
クラリスロマイシン	5–15	PO	q12–24h	Hedley J et al.2023 PubMed, MSD, FDA Label
リファンピシン	10–40	PO	q12–24h	PubMed, Medscape
シプロフロキサシン	5–20	PO	q12–24h	MediRabbit, VeterianKey
スピラマイシン	25	SC, IM	q24h	MediRabbit
チロシン	10	PO, SC, IM	q12h	MediRabbit, MSD
ネオマイシン	25–30	PO	q12h	UNSW Formulary ⁶, MediRabbit

provet.

PROVET HEALTHCARE INFORMATION – Drug Doses for Rabbits

www.provet.co.uk

rabbitwelfare

Metacam-A4-poster-2023.pdf https://rabbitwelfare.co.uk/wp-content/uploads/2023/04/Metacam-A4-poster-2023.pdf

止血剤

外科的手術中、外傷、あるいは凝固異常を伴う疾患において、迅速な止血管理が求められる。ウサギでは、血管壁を強化する薬剤や、フィブリン溶解を抑制する薬剤が併用される。

薬剤名	投与量	投与経路	頻度	臨床的適応および備考	参考文献
ビタミンK1	1–10 mg/kg	IM, SC, PO	q24h	抗生物質起因の欠乏、凝固障害。凝固因子（II, VII, IX, X）合成を支援。	(EAF 6th, BSAVA)
トラネキサム酸	10-20mg/kg	SC, IV, PO	q8–12h	フィブリン溶解抑制（抗プラスミン）。外科止血の補助。	Medirabbit
エタムシラト	5.0–12.5 mg/kg	IV, IM	q6h	血管保護、血小板粘着能の亢進。手術30分前投与が有効。

薬剤名	投与量 (mg/kg)	経路	頻度	備考・参考文献
カルバゾクロム(アドナ)	2.0–5.0	PO, SC	8-12h	毛細血管抵抗性強化。 (Japanese Vet manuals)
エタムシラート	10.0–15.0	IV, IM	6-12h	出血時間の短縮。 (臨床報告)

浸透圧利尿薬：緑内障および脳浮腫管理

グリセロールは強力な高浸透圧剤であり、眼房水や脳脊髄液の圧力を迅速に低下させる目的で使用される。

薬剤名	投与量	投与経路	臨床的適応および備考	参考文献
グリセロール	1.0–2.0 g/kg	PO	緑内障の緊急減圧。投与後2時間水制限。不快な味に注意。
グリセロール	1.0 g/kg	IV	脳浮腫（外傷・梗塞等）。0.04 g/kg/minの速度で点滴。

薬剤名	投与量	投与経路	頻度	備考	参考文献
ビタミンA	6,000–10,000 IU/kg	PO (飼料)	常用	欠乏は不妊や水頭症を招く。過剰は肝毒性。
ビタミンE	50–100 mg/kg	PO, IM	q24h	骨格筋保護、抗酸化。セレンとの併用を推奨。
ビタミンE (高用量)	1,000 IU/kg	PO (飼料)	常用	虚血再灌流障害や膀胱機能障害の予防。
セレン	0.2–0.5 mg/kg	PO (飼料)	常用	抗酸化能向上。2.5 mg/kg以上は毒性リスク。
ビタミンC	100 mg/kg	PO	bid	ストレス管理、皮膚再生。ウサギは合成可能だが補給が有益。
ビタミンB群	2–4 ml/L	PO (飲水)	4-6日間	抗生物質治療後の腸内環境サポート。

消化器系

薬剤名	投与量 (mg/kg)	投与経路	頻度	備考	参考文献
次サリチル酸ビスマス	17.5	PO	q4–8h	下痢の緩和、毒素吸着。便が黒くなる。
パンクレリパーゼ	2–3 mL (混合)	PO	q12h	毛球症（トリコベゾアール）のタンパク基質溶解補助。
マロピタント (セレニア)	1	SC, IV	q24h	胃腸運動促進、排便量増。4.0-10.0mg/kgでの疼痛抑制報告あり。
オメプラゾール	0.5–1.0	PO, IV	q24h	胃潰瘍の予防・治療。

循環器系薬剤：血管拡張・抗不整脈・利尿

カテゴリ	薬剤名	投与量	経路	備考	参考文献
硝酸塩薬	硝酸イソソルビド	5–10 mg	舌下	急性肺水腫の緊急管理（初期5mg以下推奨）。
硝酸塩薬	ニトログリセリン	1/16 inch/kg	経皮	2%軟膏。心不全緊急管理。
利尿薬	スピロノラクトン	20 mg/kg	PO	アルドステロン拮抗、心房リモデリング抑制。
β遮断薬	アテノロール	0.5–2.0 mg/kg	PO	q24h。不整脈・心拍数管理。
β遮断薬	プロプラノロール	0.2–1.0 mg/kg	PO	q8–12h。頻脈管理。
強心薬	ピモベンダン	0.1–0.3 mg/kg	PO	q12–24h。心筋収縮力の増強。

カテゴリ	薬剤名	投与量	経路	備考	参考文献
ステロイド	デキサメタゾン	0.5–2.0 mg/kg	SC, IM	抗炎症。免疫抑制に最大級の注意。
ステロイド	プレドニゾロン	0.5–2.0 mg/kg	PO, SC	慢性炎症管理。可能な限りNSAIDsで代替検討。
蛋白同化	ナンドロロン	1–5 mg/kg	IM	消耗性疾患、骨修復。週1回〜月1回。
蛋白同化	スタノゾロール	5 mg/kg	IM	食欲不振、回復期。週1回。
鉄剤	デキストラン鉄	10–12 mg/kg	IM	貧血、EPO療法との併用。週1回。

カテゴリ	薬剤名	投与量 (mg/kg)	回数	備考	参考文献
向精神薬	ハロペリドール	0.2–0.4	bid	自傷行為の抑制。
向精神薬	トラゾドン	10–20	PO	不安緩和、保定順応。20mg/kgが有効。
向精神薬	フルオキセチン	0.5–2.0	PO	SSRI。毛引き、異常行動。
去痰薬	ブロムヘキシン	0.3 ml/head	SID	スナッフル、粘液溶解。
去痰薬	アンブロキソール	1–8	PO	用量依存的な分泌促進。
抗寄生虫	フルーララネル	25	単回	疥癬に対し高い安全性。
抗寄生虫	セラメクチン	6–18	Topical	外部駆虫。30日毎。

参考文献リスト (Selected Sources)

◻️Hedley J et al.eds.BSAVA Small Animal Formulary Part B: Exotic Pets 11th ed.British Small Animal Veterinary Association.2023
James W. Carpenter & Christopher J. Marion: Exotic Animal Formulary (5th/6th Edition).
Anna Meredith & Brigitte Lord (Editors): BSAVA Manual of Rabbit Medicine (2014).
MSD Veterinary Manual: “Topical and Systemic Hemostatic Agents,” “Cardiovascular Drugs,” “Small mammal nutrition.”
Hemosilate / Bimeda Data Sheets: “Etamsylate 125 mg/ml Solution for injection.”
Ozawa S et al. (2019): “Pharmacokinetics of maropitant citrate in New Zealand White rabbits.” American Journal of Veterinary Research.
Pak J Pharm Sci (2016): “Effects of spironolactone towards rabbit atrial remodeling.” 29(1): 151-156.
VMD/Le Vet B.V.: “Sulfatrim Oral Drops for Rabbits.”
Provet.co.uk: “Rabbit drug dosages: Oxytocin, Vitamin K, Sedatives.”

オメプラゾール	0.7–1.0 mg/kg	PO	24h	胃潰瘍予防。 (BSAVA)
マロピタント(セレニア)	1.0 mg/kg	SC, PO	24h	胃腸停滞時の鎮痛・運動改善。 (EAF 6th)
シプロヘプタジン	0.25–0.5 mg/kg	PO	12-24h	食欲増進剤。 (EAF 6th)
リュープロレイン	100–300 μg/kg	IM	4週毎	副腎疾患管理。 (BSAVA)
ナンドロロン	1.0–2.0 mg/kg	IM	週1回	蛋白同化、虚弱回復。 (Scholars Res. Lib)
鉄剤(デキストラン鉄)	10.0 mg/kg	IM	週1回	鉄欠乏性貧血。 (Irish Wildlife)
ウルソ	投与不可	–	–	禁忌。肝毒性代謝物に変換される。 (Lab Invest 1982)

要参考文献

BSAVA Manual of Rabbit Medicine (2014) / Surgery (2013)
Carpenter’s Exotic Animal Formulary, 6th Edition (2023)
Textbook of Rabbit Medicine (Frances Harcourt-Brown)
Plumb’s Veterinary Drug Handbook (Donald C. Plumb)
◻️Medirabbit.com (Veterinary Resource for Rabbit Medicine)
Journal of Exotic Pet Medicine / Journal of Veterinary Medical Science (JVMS) 2024
Miyai K, et al. Lab Invest 1982; 46:428-37. (ウルソ禁忌根拠)

薬剤名	投与量 (mg/kg)	経路	用途	備考・参考文献
トラゾドン	10.0–20.0	PO	鎮静・安定	ハンドリングや入院時のストレス緩和。 (JVMS 2024)
フルオキセチン	1.0–2.0	PO	SSRI	毛引き、自傷、異常行動。 (Carpenter’s)
ハルペリドール	0.2–0.4	PO	抗精神病	重度の攻撃性や自傷。 (Medirabbit)
ミダゾラム	0.25–1.0	IM, IV, SC	抗不安	処置前の鎮静。 (BSAVA)

薬剤名	投与量	経路	用途	備考・参考文献
エピネフィリン	0.01–0.1 mg/kg	IV, IM, IT	心肺蘇生、ショック	3-5分毎に。 (WSAVA 2017)
デキサメタゾン	0.5–2.0 mg/kg	IV, IM	ショック、脳浮腫	ウサギは極めて感受性高、多用厳禁。 (EAF)
アトロピン	0.05–0.1 mg/kg	SC, IV	徐脈、中毒	アトロピナーゼによる無効化に注意。 (BSAVA)
グリコピロレート	0.01–0.02 mg/kg	SC, IV	唾液抑制、徐脈	アトロピンより有効な場合が多い。 (EAF 6th)

薬剤名	投与量 (mg/kg)	経路	頻度	備考・参考文献
トラネキサム酸	10.0–20.0	PO, IV	8-12h	線溶系抑制による止血。 (臨床報告, Medirabbit)
カルバゾクロム(アドナ)	2.0–5.0	PO, SC	8-12h	毛細血管抵抗性強化。 (Japanese Vet manuals)
ビタミンK1	1.0–10.0	SC, IM	12-24h	凝固不全、殺鼠剤中毒時。 (EAF 6th, BSAVA)
エタムシラート	10.0–15.0	IV, IM	6-12h	出血時間の短縮。 (臨床報告)

薬剤名	投与量 (mg/kg)	経路	頻度	適応・参考文献
シクロスポリン	5.0–10.0	PO	12-24h	自己免疫性疾患、ぶどう膜炎。 (EAF 6th)
アザチオプリン	1.0–2.0	PO	24h	重度の免疫抑制が必要な場合。 (Carpenter’s)
プレドニゾロン	0.5–2.0	PO	12-24h	免疫抑制量。骨髄抑制に注意。 (BSAVA)
タクロリムス	0.02–0.03% 軟膏	局所	12h	免疫介在性皮膚炎、眼疾患。 (臨床報告)

薬剤名	投与量	経路	適応・頻度	備考・参考文献
シクロフォスファミド	5.0 mg/kg	PO	週1–2回、または連日	リンパ腫、胸腺腫。 (EAF 6th, BSAVA)
クロラムブシル	2.0 mg/m²	PO	1–2日毎	リンパ性白血病、リンパ腫。 (Carpenter’s)
ドキソルビシン	1.0 mg/kg	IV	3週毎	リンパ腫、肉腫。 (J. Exotic Pet Med 2014)
ビンクリスチン	0.5–0.75 mg/m²	IV	1–2週毎	リンパ腫、伝染性性器腫瘍。 (EAF 6th)
カルボプラチン	135–200 mg/m²	IV	3–4週毎	各種固形癌。 (Experimental studies)
ロムスチン(CCNU)	40–50 mg/m²	PO	4–6週毎	難治性リンパ腫。 (BSAVA)

抗生物質

抗真菌剤の管理と参考文献

薬剤名	投与量 (mg/kg)	投与経路	頻度	参考文献
イトラコナゾール	5–10	PO	q24h	Merck ¹⁰, MiraVista
フルコナゾール	10–20	PO	q12h	Merck ¹⁰, Sorensen et al. ¹¹
テルビナフィン	10–30	PO	q24h	Merck ¹⁰, Sorensen et al. ¹¹
グリセオフルビン	25	PO	q24h	Provet ¹, Merck ¹⁰

消化器および肝胆道系薬剤：運動促進・粘膜保護・肝疾患管理

ウサギにおいて胃潰瘍はストレス下で急速に進行するため、予防および治療が極めて重要である。

消化器および肝胆道系薬剤の投与量

薬剤名	投与量	投与経路	頻度	参考文献および備考
オメプラゾール	0.5–1.0 mg/kg	PO, IV	q24h	BSAVA Manual, InquisitiveVet
マロピタント (セレニア)	1.0 mg/kg	SC, IV	q24h	Ozawa et al. (2019)。排便量増加の効果
ウルソデオキシコール酸	15 mg/kg	PO	q24h	Harcourt-Brown。注意：リトコール酸への変換リスク
SAMe	20 mg/kg	PO	q24h	肝内グルタチオン濃度を上昇させる。Harcourt-Brown
シサプリド	0.5–1.0 mg/kg	PO	q8–12h	消化管運動促進。BSAVA ²
メトクロプラミド	0.5–1.0 mg/kg	PO, SC	q12h	胃運動促進。BSAVA ²
ミソプロストール	2–5 mcg/kg	PO	q8h	PGE1アナログ。胃粘膜保護。Exotic Animal Formulary

循環器系薬剤：血管拡張薬（硝酸塩含む）、抗不整脈薬、$\beta$遮断薬

硝酸塩薬は静脈還流量を減少させることで心負荷を軽減し、急性肺水腫などの緊急管理に用いられる。

硝酸塩薬、抗血小板薬、抗不整脈薬、$\beta$遮断薬

カテゴリ	薬剤名	投与量	経路	参考文献
硝酸塩薬	硝酸イソソルビド (ISDN)	5–10 mg	Sublingual	救急用量。重度低血圧に注意。Pfizer Label
硝酸塩薬	ニトログリセリン 2%軟膏	1/16 inch/kg	Topical	心不全の緊急補助療法。q12–24h。PMC
抗血小板薬	クロピドグレル	2 mg/kg	PO q24h	血栓症予防。Harcourt-Brown, Lillis et al.
抗血小板薬	アスピリン	0.5–10 mg/kg	PO q24h	抗血小板作用。MSD Manual ¹², BSAVA ¹³
抗不整脈薬	アミオダロン	5–10 mg/kg	IV, IM	不整脈の緊急管理。MSD Calculator
抗不整脈薬	リドカイン	1–2 mg/kg	IV	頻脈の緊急ボラス投与。Meredith & Lord
$\beta$遮断薬	プロプラノロール	0.2–1.0 mg/kg	PO	q8–12h。Scribd Guide , VeterinaryKey
$\beta$遮断薬	アテノロール	0.5–2 mg/kg	PO	q24h。MediRabbit , PMC ¹⁰
強心薬	ピモベンダン	0.1–0.3 mg/kg	PO	q12–24h。Cardiac Disease

副腎皮質ステロイド療法と安全性

ウサギはステロイド感受性が極めて高く、単回の投与でも深刻なリンパ球減少や免疫抑制を引き起こし、Pasteurella などの潜伏感染を顕在化させるリスクがある。原則として、使用は最短期間かつ必要最小限に留めるべきである。

ステロイド剤の投与量

薬剤名	投与量 (mg/kg)	投与経路	臨床的適応および備考	参考文献
デキサメタゾン	0.5–2.0	SC, IM, IV	抗炎症。ウサギでは免疫抑制に細心の注意。	Provet ⁸, BSAVA
プレドニゾロン	0.5–2.0	PO, IM, SC	慢性疾患。可能な限りNSAIDsで代替検討。	Irish Wildlife
メチルプレドニゾロン	5.0	Sub-Tenon	ぶどう膜炎等の眼科的炎症管理。	JJO
メチルプレドニゾロン (琥珀酸塩)	20.0–40.0	IM	急性脊髄損傷（骨折等）に伴う腫脹軽減。	MSD Manual

鎮痛剤、麻酔薬、麻酔前投与、および救急薬

ウサギの心停止やアナフィラキシーなどの緊急事態において、エピネフィリンは循環改善のための第一選択薬となる。

鎮痛・麻酔および救急（エピネフィリン含む）

薬剤名	投与量	投与経路	備考	参考文献
エピネフィリン (アドレナリン)	0.1 mg/kg	IV, IM, IT	心肺蘇生（CPR）。末梢血管収縮。	VIN
エピネフィリン (救急ボラス)	20 mcg/kg	SC, IV	1:10000希釈推奨。気管内投与も可。	Irish Wildlife ³
メロキシカム	0.3–1.0 mg/kg	PO, SC	NSAIDの第一選択。最大1.5 mg/kg。	Rabbit Welfare ⁵, BSAVA
ブプレノルフィン	0.01–0.1 mg/kg	SC, IM, IV	強力な鎮痛。術前投与が有効。	BSAVA ², Univ. Michigan ¹⁵
アルファキサロン	2.5–6.0 mg/kg	IV, IM	安全な麻酔導入。	Merck, Univ. Michigan ¹⁵
グリコピロレート	0.01–0.1 mg/kg	SC, IM, IV	唾液分泌抑制。アトロピンより有効。	BSAVA ³, Univ. Michigan

向精神薬、ホルモン剤、抗てんかん薬

カテゴリ	薬剤名	投与量	用途/頻度	参考文献
向精神薬	ハロペリドール	0.2–0.4 mg/kg	PO bid (自傷行為)	Sadar et al. (2021), MediRabbit
向精神薬	トラゾドン	10–30 mg/kg	PO (不安緩和)	J. Vet. Med. Sci. (2024)
向精神薬	フルオキセチン	0.5–2.0 mg/kg	PO q24h (毛引き等)	BSAVA , StatPearls
ホルモン剤	エリスロポイエチン	150–1,000 IU/kg	SC (貧血・週3回)	ResearchGate
ホルモン剤	オキシトシン	0.2–1.0 IU/kg	IM, SC (難産)	Provet , Merck, PMC
ホルモン剤	リュープロレリン	20 mcg/kg	SC q24h (繁殖管理)	Zanagnolo et al.
抗てんかん薬	フェノバルビタール	2.5–5.0 mg/kg	PO q12–24h	Starship , VeterinaryKey
抗てんかん薬	レベチラセタム	20–50 mg/kg	PO q8h	Vet Neuro Center , Medscape

脂質異常症治療薬（スタチン系）

薬剤名	投与量 (mg/kg)	投与経路	備考	参考文献
アトルバスタチン	2.0–3.0	PO	10mg/kg以上は肝毒性リスク。	PMC , JCDR
シムバスタチン	1.2–5.0	PO	確立された安全用量。	Physiology , AHA
プラバスタチン	5.0–30.0	PO	研究用量。20%のTC低下。	Gynultrazvuk , J-STAGE

抗寄生虫薬

薬剤名	投与量 (mg/kg)	投与経路	頻度	参考文献
フルーララネル	25	PO	単回	Singh et al. (2022)
アフォキソラネル	2.5	PO	単回	Núñez et al. (2020)
セラメクチン	6–18	Topical	30日毎	J. Exotic Pet Med
イベルメクチン	0.2–0.4	SC, PO	10–14日毎	Merck, Mellgren et al.

参考文献リスト (Full Source List)

Joanna Hedley et al. (Editors): BSAVA Small Animal Formulary Part B: Exotic Pets (10th/11th Edition).
James W. Carpenter & Christopher J. Marion: Exotic Animal Formulary (5th/6th Edition).
Molly Varga (Editor): Textbook of Rabbit Medicine (2nd Edition).
Anna Meredith & Brigitte Lord (Editors): BSAVA Manual of Rabbit Medicine (2014).
Harcourt-Brown FM: “Digestive system disease.” In: BSAVA Manual of Rabbit Medicine.
Pfizer Canada Inc.: ISDN (Isosorbide Dinitrate) Product Monograph (2016).
Ozawa S et al. (2019): “Pharmacokinetics of maropitant citrate in New Zealand White rabbits.” American Journal of Veterinary Research.
Singh et al. (2022): “Therapeutic effects of oral fluralaner in pet rabbits.” Journal of Exotic Pet Medicine.
Veterinary Information Network (VIN): Cardiopulmonary Resuscitation (CPR) in Rabbits (2020).
MSD Veterinary Manual: Emergency Drugs Calculator / Anti-inflammatory Agents.

投与経路	頻度	参考文献および備考
PO	q4–8h	非特異的下痢、抗炎症。便が黒くなる。
PO	q12h	毛球のタンパク基質溶解補助。
PO	q24h	消化サポート。
PO, IV	q24h	プロトンポンプ阻害。胃潰瘍予防。
SC, IV	q24h	排便量増加、内臓痛緩和。
PO	q24h	肝疾患。注意：リトコール酸への変換リスク
PO	q8–12h	消化管運動促進。
PO, SC	q12h	上部消化管運動促進。
PO	q24h	肝保護。

この記事を書いた人

霍野晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年　茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。

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