【治療】自宅でのネブライザー(噴霧)療法と酸素ルーム

ネブライザー(噴霧療法)

飼い主さんに、ご自宅で使うネブライザー本体と動物を入れるケースを購入してもらって下さい。ネブライザー薬曹に入れる調合薬は獣医師が処方して、動物病院から処方します。ネブライザ本体と動物を入れるケースがつなげられるか、確認が必要になります。ネブライザーの後に体が薬剤で濡れるので、拭いて温めて下さい。濡れた体を舐めるので、薬剤が口に入ります。口にいれても問題ない製剤が理想です。

薬剤の霧で動物がパニックを起こすことがありますので、処置を行っている間はしっかりと観察をして下さい。中で糞やオシッコをしてしまうことがあります。

ネブライザー
ネブライザー

ネブライザー機械は高スペック

安い製品は液剤が細かく霧になりません。パワー不足だと、ケージの中全体に薬剤が充満しません。下記の製品よりも、もっと上級商品も購入可能なら理想です。

ジェット式

空気のジェットを使用して液体を吸い上げます。ジェットネブライザーは毛細管現象を利用して圧縮空気によるジェット気流から粒子を発生させ、小さい粒子のみを噴出させます。本法によって得られる粒子は直径1~15μm と不揃いですが、1μm前後の粒子径が多いため時間をかけてゆっくり吸入させる必要があります。ジェットネブライザーはほとんどの薬剤に使用することが可能で、超音波タイプと比べて安価であり、患者が自宅でも使用しやすいです〔玉置 2015〕。

ジェット式ならコレ

掃除がしやすい!

超音波タイプ

振動メッシュに依存して薬物のエアロゾルを生成します。超音波ネブライザーは,超音波振動により水に分子運動を起こさせて粒子を作ります。この方法では均一な密度の高い粒子が得られ、粒子径は1~5μmであるため、肺末梢部まで到達する利点があります。ただし抗菌薬や去痰薬の一部に超音波振動によって薬理活性が失われるものがあるので、注意しないといけません〔玉置 2015〕。

超音波式ならコレ

しっかりと治すならコレ!

動物を収納ケース

衣装ケースあるいは下記のような酸素ルーム用ケージがいいですね。

これ超使いやすい

ウサギやモルモットならXS、フェレットはS、ハムスターや小鳥をケージ毎入れるならMかな~

酸素ルーム

肺炎や心不全などの呼吸が苦しい動物は、酸素ルームに入れるとぐっと楽になります。酸素発生装置と動物を入れるケージがセットで販売されていると、容易に接続できるので便利ですね。フェイスマスクは、短期的な酸素投与または緊急時に適応となります。大型の動物では、鼻腔カテーテルを使用して長期の酸素投与が可能です。体重10 kg未満の小型のではでは酸素流量は1~2L/分にすべきですが、体重10kg超の大型では最大5L/分の流量が必要になります。鼻粘膜の乾燥や炎症を防ぐため、吸入酸素はバブル加湿器を使用して加湿し、ケージ内の湿度を上げてください。顔にマスクをつけることが難しいことが多いため、酸素ルームを提供するべきです。

【病気】ハムスターの心不全の解説はコチラ!

小型酸素発生機とケージセットはコレ

1㎏以下のウサギ、モルモット、フェレット用

1㎏以下のウサギ、モルモット、フェレット用

しっかりと酸素濃度測るならコレ

ぶっちゃけ必要です・・・

動物が苦しい姿は見たくないですよね。安価な商品は性能も低いので、多少値段が高くても高性能の商品を購入しないと無駄になることが多いのが現状です。

参考文献

  • 玉置淳.吸入療法のABC.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会25(1):47-52.2015

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。