【治療】ウサギ・モルモット・チンチラ・デグーの強制給餌

要約

ウサギ、モルモット、チンチラ、デグ-などの草食動物は、昼夜を問わず定期的に餌を摂り、消化管を蠕動させることが重要です。長期の飢餓が体調崩すことになりかねないと言われています。しかし、不正咬合や胃腸うっ滞などの病気、ストレスあるいは麻酔や手術からの回復期など、食欲が減退する場合もあり、このような時に介護的に給餌をする必要があります。一般的には粉状流動食を水で溶いて、シリンジを使用して、口に流し込む強制給餌を行います。適切なシリンジ給餌の技術は、ウサギやモルモットのケアにおいて不可欠なスキルです。流動食には様々な製品が販売され、嗜好性や使用感を含め、適切なものを選んで下さい。

流動食商品

商品には栄養ニーズを満たすために必要な栄養素、ビタミン、ミネラルがすべて含まれています。基本的にはウサギやモルモットなどの草食動物を対象にした商品は、牧草あるいは野菜の粉が主原料になり、長鎖の消化性繊維と難消化性繊維が胃腸機能回復を促します。牧草成分は特に難消化性繊維が多く含まれ、胃腸うっ滞の治療に有用です。野菜成分は口あたりに優れ、シリンジ内でも流動性が高いことから扱い安いです。さらに消化機能を助けるプレバイオティクスなどのサプリメントが追加で配合されているものも多数あります。

お薦め流動食

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草食動物用流動食 Vercure Exo.(ヴェルキュア エキゾ)100g

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シリンジ強制給餌

揃える物は、動物を包むための清潔で乾いたタオルと投与するためのシリンジ、流動食、水になります。流動食の粉を十分な量の水と混ぜ、先端の広い給餌用シリンジで注入できる程度の水っぽいペーストにします。粉末1に対して水あるいは温水2の割合を目安にします。時にペーストの状態で、浅いボウルやスプーンに入れてウサギやモルモットに自ら舐めさせて与えることもできます。しかし、一定量を与える必要があるため、強制的にペーストを口に入れて与えなければいけません。目安として、5~10L/kgを1日3~4回位与えますが、溶かした濃度や各商品のカロリーによりますので、商品説明文を読んで溶かす濃度や量は異なります。ただし、動物によってはペーストの投与量や回数に耐えられない場合があり、少量ずつ頻繁に与えたり、回数を少なくする必要があるため、体調に合わせて調整することが重要です。毎回の給餌で新鮮な流動食を使用してください。シリンジ給餌は基本的にストレスになることもあることを認識し、動物の状態を確認しながら行います。ペーストが水っぽいと、シリンジ内で詰まりにくなりますが、誤嚥のリスクが高まります。呼吸が早くなっているようであれば、一時的に中止してください。誤嚥により急性気道閉塞や誤嚥性肺炎などの深刻な問題が発生する可能性があります。反対に濃度が濃すぎると、シリンジ内で詰まりやすくなりますので、希望の濃度になるまでいつでも水を加えて薄めることができます。しかし、調製時に水分量を増やして液体の濃度を薄くする場合は、動物のエネルギーと栄養所要量を満たすために、ペーストの総量も増やす必要があります。

シリンジも大口径の広い経口摂取用シリンジを使用しますが、5mLと 10mLlの注射器は 20mL の注射器よりも扱いやすいです。後ろからプランジャーを引き出して濃いペーストを詰めるか、水っぽいペーストならばシリンジ先端から直接吸い込ませて充填させます。

ウサギやモルモットをタオルの上に置き、タオルを顎の下に優しく巻き付け、両側から体を折り畳んで、顔以外が包まれ状態にします。しかし、無理な抱き方でストレスを与えないようにしましょう。床や膝の上で通常の姿勢を保ち、顎を優しく持ち上げます。前腕を使って動物を優しく体側に寄せつけます。個体によっては頭を押さえなければいけません。人差し指を顎の真下に、親指を頭蓋骨の付け根に当てます。

注射器の先端を切歯のすぐ後ろの唇の間に優しく挿入し、最初は少量のペーストを流し込み、動物自ら飲み込んでいるか確認してください。最初の一口は0.2~0.5mL以下にし、その後は少1口あたり約1mLずつ与え続けます。口の中からペーストがあふれ出ている時は、量が多いかスピードが速い証拠です。急がないで、忍耐強くやりましょう。シリンジでペーストを与えると、動物も周りも汚れやすくイライラすることもありますか、落ち着いて粘り強く続けることが大切です。最後に少量の水を入れてあげてください。こうすることで、口の中の食べ物をすべて洗い流すことができます。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。