ジャンガリアンハムスターの肥満細胞腫

背景

ジャンガリアンハムスターの腫瘍発生率はゴールデンハムスターよりも有意に高く、その割合としてはほとんどが外皮系腫瘍であったと報告されています。最も多く見られた外皮系腫瘍は乳腺腫瘍であり、次いで非定型線維腫、乳頭腫、扁平上皮癌、という結果でした。そのほかによく見られる外皮系腫瘍としては肥満細胞腫が挙げられ、ジャンガリアンハムスターの皮膚肥満細胞腫は外皮系腫瘍の9.3%であったと報告されています。ただ、生物学的挙動や予後についてはまだまだ分かっていないことが多い現状です。犬猫においては肥満細胞腫の手術後、化学療法も適応されますが、小さなハムスターについてはなかなか積極的な化学療法は難しく、発生部位によっては治療が困難になるケースもあります。

患者情報

ジャンガリアンハムスター/ノーマル
未去勢オス
2才0ヵ月

主訴

腰右側のあたりの皮膚が赤く、どんどん拡大している。本人も患部を気にしている様子。食欲元気良好。

検査・診断

針生検による細胞診により、肥満細胞腫と確定診断しました。身体検査上は周囲リンパ節の腫脹は認められませんでした。

治療

飼い主様に外科手術による摘出を提案し、実施する運びとなりました。本来は事前に病理検査を行い、肥満細胞腫のグレード分類を行った上で手術方針(マージンの大きさなど)を決定することが望ましいですが、小さなハムスターではそもそも傷口の大きさにも限度があり、また挙動などについても不明のため、今回は摘出したものについて病理検査を行うことにしました。2歳という高齢のため全身麻酔による死亡リスクは低くはありませんでしたが、この子は無事に手術を乗り越えてくれました。

経過

術後、数回再診を重ねるたびに傷口は落ち着いていき、特に術後の内科および化学療法の必要もなく、2週間程度で経過観察にまでたどり着けました。

まとめ

ハムスターはエキゾチックアニマルの中でも腫瘍の発生率が比較的高く、実際診療でも多く遭遇します。全身麻酔のリスクがつきものになるため、飼い主様とはしっかりと相談して治療方針を決定する必要があります。ただ、ハムスターの外皮系腫瘍は小さな身体に対して、時に急速に巨大なサイズになり、本人のQOLを著しく下げる場合もあるため、可能なら早めに外科摘出することを推奨します。

文責/坂本陽獣医師

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この記事を書いた人

沖縄国際医療センター

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