◎爬虫類・両生類の白熱電球の製造中止と蛍光灯のLED化

はじめに

爬虫類の飼育のライトは、主に電球(白熱電球)を赤外線ライトとして、蛍光灯を紫外線ライトとして使用されています。

白熱電球の製造中止

特に白熱電球は消費電力が大きいことから、2010年代以降は次第に省電力のLEDランプに置き替えられるようになりました。日本では、2014年に第4次エネルギー基本計画に基づき、段階的に白熱電球の廃止が進められ、白熱電球からLEDライトへの完全移行は2030年と想定されています。地球温暖化防止として、白熱電球の生産・販売を一切終了して、LEDライトへの切替を促す動きが世界的にも広がっており、爬虫類に使用できる赤外線ライトの製造にも影響を及ぼす可能性が高いです。しかし、白熱電球の使用自体は禁止になるわけではないため、爬虫類用のライトの動向に注目していきましょう。

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水銀灯問題

紫外線ライトの蛍光灯にも大きな問題がでてきました。地球規模の水銀および水銀化合物による汚染を防ぐ目的で、国際的に水銀を管理することを目指した「水銀に関する水俣条約」により、「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」等に基づく措置等を行われるようになりました。2023年の条約の規制拡大によって、水銀添加製品である住宅、事務所、工場、店舗、作業現場、街路灯等で一般的に使用されている一般照明用の蛍光ランプ、低圧放電ランプ、HIDランプ(メタルハライドランプや水銀灯ライト)を、その種類に応じて2025年末から2027年末までに製造及び輸出入を段階的に廃止することが決定されました。一般照明の蛍光灯を使用している設備等について、計画的なLED化を進めることが推奨されています。しかし、今回の規制対象が一般照明の蛍光管となっているため、紫外線灯など特殊用途の水銀灯や蛍光灯は規制外となり、今まで通り製造、販売され、植物・生物育成用のライトは特殊用途に分類されるため、直ちになくなることはありません。 

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今後

今回のこれらの規制により、爬虫類の飼育においても、高電力の赤外線ライトを使用し続けることに肩身が狭い思いをすると思われます。そして、紫外線ライトの寿命を迎えた時に同じ製品が手に入らなくなる可能性もあり、将来的な規制強化や廃棄コストが懸念され、より省エネルギーでメンテナンスコストを削減できる代替光源への移行という風潮が強くなり、やはり紫外線ライトもLED化へ進んでいくと思われます。LEDは環境負荷の低減や運用効率の向上を実現できる次世代光源として、多くのメリットを提供します。紫外線LEDライトは従来の紫外線ライトの蛍光灯や水銀ランプに比べて寿命が数倍以上長く、消費電力を大幅に削減でき、調光機能により用途に応じた最適な紫外線強度を設定できます。紫外線LEDライトは水銀を使用しないため、廃棄時の特別な処理が不要で、環境にやさしい選択肢であり、爬虫類飼育用のLEDの紫外線ライトの商品が増えてきてます。

LEDへの置換

LEDランプとは、発光ダイオードを使用したランプで、Light Emitting Diodeの頭文字をとったものです。青色LEDの開発により白色のLED開発が可能となり、照明としても利用される機会が増加しています。LEDランプは、蛍光灯や白熱電球といった従来型の照明器具と比較すると長寿命で、一度設置すれば管球交換のような頻繁な交換の手間が省けます。電力の多くが発光に使われる(発光効率が高い)ため、消費電力もなくいです。LEDランプについては、価格の低廉化がみられるものの、直管蛍光灯形のLEDライトなど、まだ市場規模もLED電球ほど大きくなっておらず、技術的や生産コスト的にも発展途上です。真空管やフィラメントを必要としないため、衝撃に対して比較的強いのも特徴ですが、小型・点光源点光源のために発光部が小さく作れるのも利点です。

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。