トカゲに寄生する新種のクリプトスポリジウム!?

※ アイキャッチ画像は紹介論文 (Zikmundová V. et al., 2025) のGraphical Abstractより引用

この度は2025年にトカゲに寄生するクリプトスポリジウムの新種を特定した旨が報告されたため、取り上げさせていただきます。

クリプトスポリジウムといえば爬虫類においては無症状で寄生していることもあれば
致死的な消化器症状の原因となることもある寄生虫 (原虫) です。

※ 詳しくは別記事にて解説されておりますためご参照いただければと存じます。

今まではトカゲに寄生するクリプトスポリジウムは大まかに
Cryptosporidium varanii (C. saurophilum)C. serpentis の2種が確認されていましたが、
この度、新種Cryptosporidium geckonae を特定した報告が発表されました。

とはいうものの、本新種が報告されてからあまり時間も経過しておりませんため、
「病原性が…」といった内容や更に言ってしまうと「本邦にいるのか?」すら明言することはできません!!

しかしながら、学名からお察しされたかもしれませんが、日本でも比較的メジャーなトカゲである
ヒョウモントカゲモドキ (Eublepharis macularis; いわゆるレオパルドゲッコー leopard gecko) からも検出されている点から、
これからの報告に注目するためにも頭の片隅に置いておいてもよろしいのではと愚考しております。

報告内容に関して記事作成者が大まかにまとめたものを以下に提示します。

元論文: “Cryptosporidium geckonae n. sp. (Apicomplexa: Cryptosporidiidae) in geckos”
Zikmundová V, Holubová N, Fenclová J, Sak B, Rost M, Gomułkiewicz A, Konečný R, McEvoy J, Xiao L, and Kváč M. Parasit Vectors. 2025;18(1):420.

記事作成者による大まかなまとめ

Nephrurus levis (ナメハダタマオヤモリ) およびE. macularius (ヒョウモントカゲモドキ) から分離した遺伝子型Cryptosporidium sp. lizard genotypeの
分子系統解析、実験感染、オーシストの形態学的解析、宿主の感染部位特定を実施した結果、独立した新種であると判断された。

  • 新種が分離されたナメハダタマオヤモリおよびヒョウモントカゲモドキはチェコ共和国の異なるブリーダーで飼育下個体間で繁殖された個体であった。
    • 臨床症状は動物、ブリーダー共にみられなかった。
  • 分離原虫ならびに実験感染動物から分離した原虫を用いた分子系統解析法では近隣結合法および最尤法のどちらの系統樹推定法においても
    過去に分離されたCryptosporidium sp. lizard genotypeとは独立した分岐パターンの集団を形成した。
  • マウス、ニワトリ、ヘビ (コーンスネーク) にオーシストを接種したが顕微鏡的にも分子生物学的にも感染は検知されなかった。
  • 実験感染させたヒョウモントカゲモドキ (事前に1ヵ月間の糞便検査でオーシスト陰性を確認) 3匹全てで接種後にオーシストの排泄がみられた。
    • プレパテントピリオドは6日であった。
    • 50日の観察期間中では臨床症状はみられず体重減少も無かった。
    • オーシストの排泄は間欠的にみられた。
    • 自然感染個体および実験感染個体で共に200日以上オーシストの排泄がみられた。
  • 胃、小腸、大腸および肺から新種クリプトスポリジウムの遺伝子が検出された。
  • 組織学的検査ならびに電子顕微鏡下での観察では遺伝子が検出された消化管部位で発育が確認されたが、肺での発育は観察されなかった。
    • 胃の尾部、幽門近くでの感染価が高く、他の部位では比較的感染価は低かった。
    • 消化管粘膜の組織学的検査では僅かな変化のみが観察された。

参考文献 (内容精査のため元論文の確認を推奨させていただきます。)

Zikmundová V, Holubová N, Fenclová J, Sak B, Rost M, Gomułkiewicz A, Konečný R, McEvoy J, Xiao L, and Kváč M. Cryptosporidium geckonae n. sp. (Apicomplexa: Cryptosporidiidae) in geckos. Parasit Vectors. 2025;18(1):420. doi: 10.1186/s13071-025-07068-4.

この記事を書いた人

千葉どうぶつ総合病院

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