
背景
ミーアキャットは猫ではありません。哺乳綱食肉目マングース科スリカータ属に分類される食肉類です。雑食性で昆虫などを好んで食べる、手先が器用な動物です。しっぽを支えにして上手に直立する姿が愛らしく、ペットとしての人気も高まってきています。
しかし、オスは発情期には気性が荒くなることがあります。さらに肛門の両脇に臭腺を持ち(肛門腺、肛門嚢とも呼ばれます)、興奮時や排便時、発情時に強い匂いを放つ分泌物を排出します。一緒に暮らす家族に迎えるには、やや難点となることもあります。
症例
1歳6ヶ月のオス
体重:1.25kg(BCS4/5)
•身体検査、血液検査、X線検査、超音波検査、いずれも異常は認めませんでした。
去勢手術
去勢手術も臭腺摘出も、全身麻酔で行います。まずは去勢手術から行います。陰嚢を切開し、精巣を露出させます。露出させた精巣につながる精管と血管を、吸収糸で結紮します。結紮したところから精巣を切り離します。出血がないことを確認し、閉創していきます。
摘出した精巣です。
臭腺摘出
臭腺は分泌物を排出するメインの導管と、その周囲にある細かい分泌腺を合わせて摘出します。
肛門周囲を露出し、臭腺の導管開口部およびその周囲を確認し、切除する範囲を決めます。
皮膚を切開していき臭腺を丁寧に剥離していきます。
摘出された臭腺です。
閉創し手術終了、麻酔から覚醒させます。
術創管理
術後はエリザベスカラーを装着して過ごします。手先が器用なので簡単に外してしまうこともあります。その際はハーネスに縫い付けるなどの工夫が必要です。
肛門周囲の手術なので、術創に便が付着し汚染させてしまう可能性があります。さらに、傷を気にして手で直接いじってしまうこともあります。退院後もなるべく清潔に過ごせるように気を配っていただく必要があります。
1週間程度で傷も塞がり、治療終了となります。

さいごに
手術をしても、本来の気性の荒さは残るため、全ての個体がおとなしくなるわけではありません。
臭腺に関しても同様で、臭腺を摘出しても臭いを完全に取り去ることはできません。元々の体臭はある程度残ります。
臭腺の発達具合にも個体差があると感じています。気になる際はまず診察に来て下さい。