カメすくいは、日本の縁日や夏祭りの定番として親しまれてきましたが、現在は法律の改正や環境への配慮から、その姿を消しつつあります。
カメすくいのルール
金魚すくいと似ていますが、カメの重さに耐えられるよう工夫されたルールが一般的です。紙を張ったポイではなく、最中(もなか)の皮や、より強度の高い網、あるいは、いかりのような金具を使う場合があります。制限時間内にすくったカメを持ち帰れる、あるいは、すくえなくても1匹もらえるといった形式が多いです。飼育の難しさや外来種問題から、現在は、すくう体験だけで、持ち帰りは不可(景品は別)とする露店も存在します。
発祥と歴史
カメすくいの正確な起源は諸説ありますが、日本の伝統的な、すくいもの(金魚すくいなど)の派生として広まりました。1960年代から1970年代にかけて、アメリカから大量に輸入されたミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)が安価で手に入ったことから、縁日の定番となりました。それ以前は、在来種のクサガメやニホンイシガメの子ども(ゼニガメ)が使われていましたが、流通量と価格の面からアカミミガメに取って代わられました。
日本で衰退した理由
現在、カメすくいが激減しているのには、主に法律と環境の2つの大きな理由があります。
法律による規制(最大の理由)
条件付特定外来生物への指定
2023年6月より、ミシシッピアカミミガメが条件付特定外来生物に指定されました。これにより、生体の販売・頒布(配ること)が禁止されました。お祭りの景品として渡すことも「頒布」に当たるため、事実上アカミミガメでのカメすくいは違法となりました。
動物愛護法
2019年の法改正により、対面説明や事業所での販売が義務付けられました。露店のような場所で動物を不特定多数に渡す行為自体が、非常に高いハードルとなっています。
環境問題と倫理観の変化
祭りで手に入れたカメが大きくなり、飼いきれずに川へ放流されるケースが相次ぎました。これが日本の在来種を駆逐する原因となり、社会的な批判が高まりました。そして、生き物をゲームの景品にすることに対する抵抗感や、飼育環境への関心の高まりも、衰退を後押ししています。
外国でのカメすくい
海外では、日本のような縁日文化がないため、カメをすくう行為自体が一般的ではありません。欧米諸国では、動物愛護の観点が非常に厳しく、生きた脊椎動物を景品にすることは法律で禁止されている国が多いです(例:イギリスでは16歳未満に親の同意なく金魚などを贈ることも制限される場合があります)。アジアでは、台湾や中国の一部では、日本の縁日に近い形式で金魚やカメを扱う露店が見られることもありますが、やはり環境規制や外来種問題によって徐々に減少傾向にあります。欧州連合(EU)などでは、ミシシッピアカミミガメの輸入自体がかなり早い段階から禁止されています。
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