社会性
アゴヒゲトカゲは社会的な動物ではありませんか、特に人気のある餌場や日光浴場では、時々群れる姿を見かけます。このような場合、明確な序列が生まれ、最高位の動物は最も良い日光浴スポットを占領し、他のすべての個体はより低い位置に座ります。アガマ科トカゲの中には群れになるものもいますが、多くは、強い領域性を持ち、自分の縄張り内に侵入してくる個体を、特に繁殖期に強く排除しようとします。一部では野生下ではオスが縄張りを持ち、複数のメスを従えたハーレムを持っているとも言われていますが、真偽は不明です。
コミニケーシュン
脅かされた時に小さくシューという音を立てる以外、鳴き声を出しません。代わりに、彼らは色のディスプレイ、姿勢、腕を振ったり頭を上下に動かすなどの身体的ジェスチャーでコミュニケーションをとります。下位の動物が優位なトカゲに挑戦しようとすると、優位な動物は頭を上下に動かし(ヘッドボビング)、ひげを膨らませることで優位性を示す。この時点で、挑戦者は片方の腕をゆっくりまたは速く円を描くように振って服従の合図を送ることがあります(アームウェイビング)。下位のトカゲが服従しない場合は、頭を上下に動かし返し、にらみ合いや戦いになることもあります。
妊娠したメスは、オス誘いを拒むために、オスを追いかけて仰向けに寝転ぶことがよくあります。直接攻撃を受けると、フトアゴヒゲトカゲは口を開けて黄色い膜を露出させ、ヒゲを伸ばします〔Witten 1993〕。皮膚の色を黒く変色させ、体を平らにし、シューという音を立てて攻撃者に向かって小さくジャンプします。フトアゴヒゲトカゲが人間を攻撃することは知られていません。
学習
近年、爬虫類の知能に関する研究が進んでいます。フトアゴヒゲトカゲについても、いくつかの研究結果が報告されており、その高い知能が明らかになってきています。
学習行動
アゴヒゲトカゲは同種の行動を観察することで学習できることが示されています。ある実験では、1頭のトカゲに餌に届くようにドアを開けるよう訓練したところ、その行動を観察していた他のアゴヒゲトカゲのほとんどが同様に行動できることが示されました〔Virat 2014.〕。そして、フトアゴヒゲトカゲは、餌を取るために障害物を乗り越えたり、餌箱を開けたりするなどの問題解決能力を持っていることが分かっています。これは、学習能力や記憶力などの高い認知機能を必要とする行動です。
色の識別能力
フトアゴヒゲトカゲは、赤、緑、青などの色を区別できることが分かっています。これは、餌を見つけたり、縄張りを主張したりする際に役立っていると考えられます。
鏡像認識能力
フトアゴヒゲトカゲは、鏡に映った自分の姿を認識できることが示唆されています。これは、自己認識能力の指標の一つと考えられており、哺乳類以外の動物ではあまり見られない能力です。
フトアゴヒゲトカゲの知能を示す行動例
フトアゴヒゲトカゲは、以下のような知能を示す行動をとることがあります。
餌をピンセットから取る
餌を目で見て認識し、ピンセットという道具を使って捕まえるという、複数の認知機能を必要とする行動です。
名前を覚える
フトアゴヒゲトカゲは、飼い主が呼ぶ名前を覚えることができるとされています。これは、高い記憶力と学習能力を持っていることを示しています。
トイレを覚える
フトアゴヒゲトカゲは、トイレの場所を覚えることができるとされています。これは、排泄行為をコントロールする能力を持っていることを示しています。
飼い主の顔を認識する
フトアゴヒゲトカゲは、飼い主の顔を認識することができるとされています。これは、高い視覚認識能力を持っていることを示しています。
これらの行動は、単なる習性ではなく、高い知能に基づいていると考えられています。
参考文献
- John Virat. “Bearded Dragon Lizards Are Smarter Than You Might Think!”. Reptile Magazine.2014
- Witten GJ.No. 29 Family Agamidae. Fauna of Australia. Volume 2A. AGPS Canberra Jones, 1993