◎レインボーボアってどんなヘビ(知らないといけない生態と特徴)

分類

レインボーボア(ニジボアEpicrates cenchria)は、ボア科カガヤキボア属に分類されています。

分布

南アメリカ大陸(ガイアナ、ブラジル、仏領ギアナ、ベネズエラ)

形態

全長

最大全長250cmになります。

体色

鱗に光が当たると構造色により虹色の光沢が表れることが和名や英名の由来になっており、幼体は成体に比べ色彩が鮮やかですが、成長に伴い黒色を帯びてきます。

生態

熱帯雨林に生息しています。幼体は樹上棲でしすが、成長に伴い地上棲になります。夜行性で、食性は動物食、鳥類、小型哺乳類等を食します。繁殖形態は卵胎生で、1回に8~30頭の幼蛇を産みます。

分類

​レインボーボア(Epicrates cenchria)は地理的変異に基づく9つの亜種によって構成されると定義されてきました。1758年にリンネによって記載されたこの群は、その後の約250年間にわたり、亜種レベルでの細分化が進められてきました。初期の亜種分類は主に体色や斑紋のパターンの違いに依存しており、これには E.c.alvarezi,E.c.assisi,E.c.barbouri,E.c.cenchria,E.c. crassus,E.c.gaigei,E.c.hygrophilus,E.c.maurus,E.c.polylepisなどが含まれていました 。

学名和名/英名
E.c.alvareziアルゼンチンニジボア/Argentine rainbow boa
E.c.assisiCaatinga rainbow boa
E.c.barbouriMarajo Island rainbow boa
E.c.cenchriaブラジルニジボア/Brazilian rainbow boa
E.c. crassusパラグアイニジボア/Paraguayan Rainbow Boa
E.c.gaigeiPeruvian rainbow boa
E.c.hygrophilusEspirito santo rainbow boa
E.c.maurusコロンビアニジボア/Colombian rainbow boa
E.c.polylepisCentral highland rainbow boa
表:過去のレインボーボアの亜種分類

新たな分類

2008年に発表された包括的な研究により、外部形態、骨学的特徴、およびヘミペニス(半陰茎)の形態学的な不連続性が明らかにされました〔Passos et al.2008〕。その結果、従来の亜種のうち五 5つの分類群が独立種へと昇格され、同時にいくつかの亜種がシノニムとして整理されました。例えば、アマゾン下流域に分布するとされたE.c.hygrophilusは、形態的変異が基名亜種 E.c.cenchriaの範囲内に完全に収まることから、現在は E.cenchria のシノニムと見なされています。さらに、分子系統学的データを用いた解析では、従来のEpicrates属の定義を覆す衝撃的な事実を提示しました。大陸産のレインボーボア類は、カリブ諸島に分布する同属種(E.striatusなど)よりも、むしろ大陸産の別属であるアナコンダ属(Eunectes)と系統的に近縁であることが示されました〔Rivera et al.2011〕。

種名一般名分布腹板数
Epicrates cenchriaブラジルレインボーボアアマゾン盆地、ギアナ高地245以上
Epicrates alvareziアルゼンチンレインボーボアアルゼンチン(チャコ)、パラグアイ245以下
Epicrates assisiカアチンガレインボーボアブラジル北東部(カアチンガ)245以上
Epicrates crassusパラグアイレインボーボアブラジル南部、パラグアイ、ボリビア245以下
Epicrates maurusコロンビアレインボーボア中央アメリカ、南米北部、トリニダード・トバゴ245以下
表:レインボーボアの分類

ブラジルレインボーボア

地色は橙赤色で、側面の眼状斑が崩れず、斑紋は成長しても消えることはありません。体形は細めです。

コロンビアレインボーボア

成体はほぼ無地の暗褐色で、側面の眼状斑は幼体時にのみ顕著です。腹板数が245枚未満です。体形は太めです。

​アルゼンチンレインボーボア

地色は灰色から灰褐色です。前部背鱗数が40枚を超えます。頭部の前頭骨が退縮または欠損しています。

カアチンガレインボーボア

地色は淡褐色になります。半陰茎のロブが非常に長く、円筒形に近いのか特徴です。鱗板の微細構造が乾燥環境に適応しています。

パラグアイレインボーボア

地色は褐色で、側面の斑紋が癒合しています。尾下板数が45枚以下と少なく、鋤骨の翼状突起が退縮していることか特徴です。

虹色光沢のメカニズム

​レインボーボアの最大の特徴である、日光を反射して虹色に輝く性質は化学的な色素によるものではなく、皮膚表面の物理的なナノ構造による構造色です。この現象は、光学的な多層膜干渉、回折、および散乱の組み合わせによって生じます。 ​​爬虫類の皮膚における構造色の発現には、真皮内の虹彩色素胞が中心的な役割を果たす。虹彩色素胞は、細胞質内に反射小体呼ばれる結晶構造を有しており、これらは通常、プリン代謝産物であるグアニンによって構成されています。 ​レインボーボアの虹色色素胞において、グアニン結晶は数ナノメートルの厚さの薄板状を形成し、それが細胞質層と交互に積み重なった多層構造を呈しています。グアニン結晶の屈折率と細胞質の屈折率には顕著な差があるため、光が各層の境界で反射される際、特定の波長において建設的干渉が生じます。

参考文献

  • Passos P et al.Revision of the Epicrates cenchria Complex (Serpentes: Boidae).Herpetological Monographs 22(1).2008
  • Rivera P et al.Species Delimitation in the Continental Forms of the Genus Epicrates (Serpentes, Boidae) Integrating Phylogenetics and Environmental Niche Models.PLOS One6(9).2011

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。