意義(なぜ必要なのか)
野生の小鳥は、粗い木の皮や石の上を歩くことで自然に爪が摩耗しますが、飼育下の環境(止まり木など)では摩耗が追いつかず、伸びすぎてしまうことが一般的です。適切な長さを保つことは、以下の理由から非常に重要です。
事故の防止: 伸びすぎた爪はカーテンや衣類、ケージの隙間に引っかかりやすくなります。パニックを起こして暴れた結果、骨折や脱臼、爪が根元から抜けるといった大怪我につながるリスクがあります。
把持機能の維持: 爪が長すぎると、止まり木を正しく掴むことができません。足の指が浮いてしまったり、変な方向に力がかかり続けることで、関節炎やバンブルフット(趾瘤症)の原因になることがあります。
飼い主とのスキンシップ: 手に乗せた際に痛みを伴うと、無意識に愛鳥を避けてしまう原因になります。
頻度(いつ切るべきか)
個体差(代謝や活動量)や環境によって大きく異なりますが、一般的な目安は1〜2ヶ月に1回になります。若齢期や代謝が良い個体は伸びが早いです。肝臓疾患などの内臓疾患がある場合、爪が異常に早く伸びたり、変形したりすることがあります(嘴の過長や変色を伴うことも多いです)。チェックポイントとして、平らな場所を歩くときに、爪先が当たって指が浮いていないか、止まり木に止まっているとき、爪が巻いて足の裏に刺さりそうになっていないか、以前より鋭利になり、服などに引っかかる頻度が増えていないか等を確認します。
方法(安全な切り方)
もっとも重要なのは保定です。暴れる状態で切るのは非常に危険です。
準備するもの
爪切り: 人間用の赤ちゃん用爪切り、または小動物用ニッパー(切れ味が良いもの)。
止血剤: ペット用の止血パウダー(「クイックストップ」など)。
タオル: 保定用。爪が引っかからない素材(ハンドタオルやハンカチなど)が適しています。
手順
保定
鳥には横隔膜がないため、胸を圧迫すると呼吸ができなくなります。首を親指と人差し指で固定し、体は手のひらの中にふんわりと包むように支えます。できない場合は、タオルで背中側から優しく包み込みます。
血管の確認
文鳥やセキセイインコなどの白い爪の場合、光に透かすと中にピンク色の血管が見えます。この血管の手前(先端側)2〜3mmを残してカットします。黒い爪(血管が見えない場合)は、先端の尖った部分を少しずつ(1mm単位で)切り落とす程度に留めるのが安全です。
カット
趾を一本ずつ確実に持ち、爪が横にねじれないように固定して切ります。一度に短くしようとせず、角を落とすイメージで行います。
もし出血したら
慌てずに、出血点に止血剤を盛り、指で数分間圧迫します。数分経っても止まらない場合は、動物病院を受診してください。
獣医学的な注意点
爪切りは小鳥にとって大きなストレスです。開口呼吸や、目を閉じてぐったりする様子が見られたら、途中でもすぐに中止してケージに戻してください。保定に自信がない場合や、愛鳥が極端に嫌がる場合は、無理をせず動物病院にお願いするのが賢明です。プロの保定は短時間で終わるため、結果的に鳥への負担が少なくなります。
予防
鳥の爪の伸びすぎ予防には、凹凸のある天然木の止まり木を複数設置し、爪が擦れるようにする、平らな止まり木や床で全体が摩耗するようにする、ケージ内を活発に動ける環境にして運動を促す、爪やすり付きの止まり木カバーを利用するなどの方法があります。
