分布による飼育環境の相違
飼育下で最も一般的なオーストラリア種(乾燥を好む)とインドネシア種(高い湿度を好む)では、推奨される湿度が25%から45%と大きく変動します。湿度管理は亜種間の地理的起源によって最も異なる要素であり、特に不適切な低温と高湿度の組み合わせによって、トカゲの免疫が損なわれることで日和見的に呼吸器感染症が発症します。 他にも湿度が足りないと皮膚疾患(脱皮不全)も起こります。飼育種を正確に特定し、その種に合った湿度管理が実践されているかを厳しく評価する必要があります。
昼行性
昼行性のアオジタトカゲのPreferred Optimal Temperature Zone (POTZ; 最適体温域) は28~33℃の範囲になります。最も高温となるホットスポットは、Tiliqua scincoides群の場合、37~40℃理想的とされ、冷却側の環境温度は21~26℃に保つ必要があります。夜間に若干の温度低下が生じても問題はありませんが、極端な冷え込みは免疫を低下させるため推奨されません。夜間においても冷却側の最低温度(約21∘C)を下回らないように管理することが望ましいとされています。

乾燥系(オーストラリア種)
オーストラリアは、地域によって砂漠があったり、冬場に0度以下になることもあります。T. scincoides(キタ、ヒガシ)などのオーストラリア固有種は、比較的乾燥した環境を好み、平均湿度40~60%が推奨されます。さらに、セントラリアン (T. multifasciata) やシャクナゲスキンク (T. rugosa) などの砂漠または半乾燥地帯の種は、20~40%という低湿度が適切です。低すぎる湿度は脱皮不全を引き起こす可能性があるため、最低限の湿度は維持し、必要に応じて一時的な霧吹きを行わないといけません 。
多湿系(インドネシア種)
インドネシアは年中高温多湿の熱帯気候です。T.gigas群(クラシック・インドネシアン、メラウケ、ケイアイランド、タニンバル)などのインドネシア起源の種は、熱帯気候の生息地を反映し、60~80%の高い湿度が必要とされます。特にハルマヘラ産 (T.g.gigas) は、80~100%という極めて高い湿度を要求する場合があります。飼育者が自身の飼育している個体の亜種を正確に特定し、その生息環境に基づいた温湿度管理を厳密に行うことが、健康維持の基本的前提となります。
| 亜種 | 分布 | 推奨湿度範囲 | 推奨温度範囲 | 臨床的懸念 |
| キタアオジタトカゲ(T.s.intermedia) | オーストラリア北部 | 40~60% | 37~40∘C | 低温下での高湿度による呼吸器感染症 |
| ヒガシアオジタトカゲ (T.s.scincoides) | オーストラリア東部 | 40~60% | 37~39∘C | 低温下での高湿度による呼吸器感染症 |
| オオアオジタトカゲ(T.g.gigas) | インドネシア | 60~80% | 35~37∘C | 低湿度による脱皮不全 |
| ハルマヘラオオアオジタトカゲ (T.g.gigas) | インドネシア(ハルマヘラ) | 80~100% | 35~37∘C | 低湿度による重度脱皮不全 |
