◎アオジタトカゲってどんなトカゲ(知らないといけない生態と特徴)

舌が青いツチノコ

名前の通り青い舌を持つトカゲです。特にオスは頭部が大型化し、体幹全体が太いためにツチノコのような外観のトカゲとも言われています。1970年代から日本で多く飼育されるようになり、想像される姿が似ていること、また日本ではその頃からブームとなったことから、ツチノコの正体はペットのアオジタトカゲが野生に放たれた個体を有力とする論説があります。

分類

有鱗目トカゲ科アオジタトカゲ属
学名Tiliqua spp.
英名:Bluetongue skink

分布

インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア

品種

ペット市場で流通する個体は、主にインドネシア種群とオーストラリア種群との二つに大別され、それぞれが異なる環境適応を示しているため、飼育下での亜種識別は臨床管理上、極めて重要です。   

種類和名/学名英名分布地域個体群
Tiliqua gigasオオアオジタトカゲ
T.g.gigas
Indonesian blue -tongue skinkインドネシア パプアニューギニア・ハルマヘラアオジタトカゲ
・セラムアオジタトカゲ
・ナビレアオジタトカゲ
・アンボンアオジタトカゲ
メラウケアオジタトカゲ
T.g.evanescens
Merauke blue- tongued skinkインドネシア パプアニューギニア
ケイドアオジタトカゲ
T.g.keyensis
Key Island blue-tongued skinkインドネシア

・ケイアオジタトカゲ
・アルーアオジタトカゲ
Tiliqua scincoidesタンニバールアオジタト  カゲ T.s.chimaeraTanimbar blue- tongued skinkインドネシア (タニンバル諸島)
表:アオジタトカゲのインドネシア種群

種類和名/学名英名分布地域個体群
ハスオビ    アオジタトカゲ Tiliqua scincoides
ヒガシアオジタ トカゲ
T.s.scincoides 
Eastern Blue-tongued skinkオーストラリア東部シドニー
クイーンズランド
ニューサウスウェルズ
キタアオジタカゲ
T.s.intermedia
Northern blue-tongued skinkオーストラリア北部・キンバリー
Tiliqua multifasciataチュウオウ アオジタトカゲCentralian blue-tongue skinkオーストラリア中央部
Tiliqua occipitalis ニシアオジタ トカゲWestern blue-tongued skink
オーストラリア西部
Tiliqua nigrolutea マダラアオジタ トカゲBlotched blue-tongued skink
オーストラリアハイランド
・ローランド
・カトゥンパ
・タスマニア
・アルパインド
マツカサトカゲTiliqua rugosa
ニシマツカサトカゲ
T.r.rugosa 
ヒガシマツカサトカゲ
T.r.asper 
ロットネスマツカサトカゲ
T.r.konowi
シャークベイマツカサトカゲ
T.r.palarra
Pinecone lizard
Shingleback lizard
Stumpy tail lizard

オーストラリア



Tiliqua adelaidensisアデレードアオジタトカゲ
(ヒメアオジタトカゲ)
Adelaide pygmy blue-tongue skink Pygmy blue-tongue skinkオーストラリア(南オーストラリア州のミッドノース)
表:アオジタトカゲのオーストラリア種群

アオジタトカゲの亜種による飼育のポイント

保全

開発による生息地の破壊などにより生息数が減少している種もいます。生息国であるオーストラリアは野生動物の輸出を禁止しているため、動物園での展示用や研究用に過去に海外に持ち出された個体からの飼育下繁殖個体が流通しています。その影響もあってか、海外、国内ともに別種もしくは亜種との交雑が頻繁に行われ、個体が純血種であるかの判断は遺伝子検査などを行わない限り不可能に近いです。2022年に7種がワシントン条約付属書IIIとなっています。また、アデレートアオジタトカゲ、一時期絶滅したと考えられていましたが、1992年、研究者が死んだブラウンスネークの胃の内容物から成体のアデレートアオジタトカゲの遺骸を発見し、再発見されました。現在、絶滅危惧種とされ、再発見以来、調査により、5000~7,000頭が生息していると推定され、2024年にアデレードアオジタトカゲが附属書ⅢからⅠへ移行されました。

トカゲ飼育の法的規制

モルフ

飼育下繁殖プログラムにより、自然界では稀または存在しない多様な遺伝的色彩変異(モルフ)が開発され、流通しています 。代表的なモルフには、アルビノ、ハイパーメラニスティック 、プラチナ 、スノー 、サングロー などがあり、これらは市場で高い価値がつけられています 。   

生態

環境

アオジタトカゲは幅広い環境に適応する柔軟性を持ち、生息地は、準砂漠地帯、混合林地、スクラブランド(低木地)から、海岸沿いのヒース地帯、草地まで多岐にわたります 。特に、地表のカバー(地面を覆う植生やマルチング材)が多い開けた場所を好み、都市化された郊外の農場、庭園、芝生など、人間が改変した景観にもうまく適応してします。 

行動

  • 外敵に襲われると、青い舌を見せ噴気音を出す威嚇行動を取ります
  • 昼行性であるため、昼間に活動をします

食性

食性は雑食性で、植物、無脊椎動物、昆虫、カタツムリ、動物の死骸、および小動物などを積極的に探索し、採食します 。カタツムリは彼らの食性において重要な位置を占めています。   

寿命

寿命は10~150年と長く、一部の個体ではその予想寿命をさらに10年上回ることも報告されています。

身体

全長

体長は33~43cm程度です。ただし、キタアオジタトカゲなどの大型亜種では、全長50~60cmに達します。

体色

体色は亜種や地理的変異によって大きく異なり、銀灰色、黄色、茶色、または黒を基調とすし、体および尾には通常、不規則な濃淡の横帯(クロスバンド)が見られます。特徴的な模様として、目から耳にかけて暗色の筋状のパターンが現れる個体も存在します。腹側は一般的に白色から淡黄色を帯びています。   

雌雄鑑別

アオジタトカゲは一般的に性的二形性が明確でありませんので、身体的特徴のみで雌雄を判別することは難しいです。オスはメスに比べて頭部が幅広く三角形になりやすい、あるいは尾の付け根が太いといった傾向が観察されますが、これらの特徴は個体差が大きいため、確定するものではありません。

性格・習性

警戒して気性が荒い面もありますが、比較的おとなしい性格のため触れあうこともできます。 しかし、おっとりした反面、かむ力が強いため、慣れていない個体には安易に触ったりしないようにしよう。 アオジタトカゲの特徴である青い舌を見せ「フーッ」と音をたてている威嚇行動が見られた時には注意してください。

特徴 

身体的特徴として、頑丈で円筒形の体型に加えて、鱗が密に連動しており、非常に滑らかであることが挙げられます。この滑らかな表面構造は、地表での移動(潜行や滑走)を容易にし、同時に土や破片の侵入を防ぐことに役立っています。 

広く扁平な頭部

頭部は比較的大きく、広く扁平で、首との境界が不明瞭です。この頭部の形状は、硬い獲物や植物質など、多様な食餌を処理するのに適した強力な咬筋を収容するのに役立ち、雑食性の彼らの食性に対応しています。また扁平な頭部は、捕食者から身を隠すために狭い隙間や地面の窪みに潜り込むのを助け、防御行動を支援します。頭蓋骨内の構造は、強膜輪の発達した大きな目を支え、視覚的な探査能力に寄与します。また、鼓膜が露出しており、聴覚にも優れています。

頑丈で円筒形の体躯と短い四肢

頑丈で円筒形の胴体と、胴体に対して短い四肢を持ちます。短い四肢は、樹上生活よりも地上での移動(這うような動きや直線的な歩行)に適しています。彼らは主に地表や低層植生で生活し、比較的ゆっくりとした動きをします。頑丈な体型は、熱容量を大きくし、環境温度の変動に対する体温の安定性を高める(恒温性を補助する)のに役立ちます。これは、変温動物である彼らにとって重要な特徴です。胴体は内臓と、エネルギー源として脂肪を蓄積するのに十分なスペースを提供します。特に冬眠前や繁殖期には、この脂肪貯蔵が重要となります。

密に重なり合った滑らかな鱗

皮膚は密に重なり合った、大きく滑らかな鱗で覆われています。鱗は乾燥した環境での水分蒸発を防ぐバリアとして機能し、脱水から体を保護します。また、物理的な損傷(擦り傷など)や微生物の侵入から体を守ります。また鱗が滑らかであることは、土や砂の中を容易に滑るように移動することを可能にし、捕食者からの迅速な隠蔽を助けます。

青色の舌

本属の最も注目すべき特徴は、属名が示す通り、大きく肉厚な青い舌です。この青舌は、潜在的な捕食者に対する威嚇表示として大きく曝露される防御行動に用いられます 。また、舌は変形可能であり、粘液を生成することで獲物を捕獲する際にも利用されます。

アオジタトカゲの舌出しの詳細な解説はコチラ

胎生

アオジタトカゲは卵胎生のトカゲで、メスは卵を体内で孵化させ、発育した仔を直接産出します。

【病気】アオジタトカゲの呼吸器感染症と脱皮不全

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。