クサガメは日本在来種とされていましたが、現在は江戸時代以降に朝鮮半島や中国から持ち込まれた外来種の可能性が高いといわれています〔疋田ら 2010〕。日本に生息するクサガメを中国や台湾の個体と遺伝的な相違を調べた所、日本に生息する個体群は外国産、特に韓国に生息する個体群と遺伝的に一致するものが多く、日本のクサガメは外来起源である可能性が高いことが研究で示唆されました〔Szuzuki et al.2011〕。特に本州西部と四国に生息しているクサガメは、韓国系統のみです。日本におけるクサガメの最古の文献記録は1805年に小野蘭山著の「本草綱目啓蒙」で、当時のクサガメの記録が九州北部に集中していることから、朝鮮通信使より18世紀末に朝鮮半島より九州へ持ち込まれたのが最初と考えられています〔疋田ら 2010〕。Stejneger(1907)はクサガメの産地を対馬、鹿児島、大阪など西日本に限定していると報告しており〔Stejneger 1907〕、韓国から西日本に渡ってきて、日本に帰化したと思われています。東日本と九州に生息しているクサガメは台湾と中国系統に分かれていました。千葉の房総半島のクサガメは中国の個体と形態的に似ているという研究報告があります〔Szuzuki et al.2011〕。いずれにせよ、国外ではクサガメの個体数の減少から絶滅が危惧されています。
Stejneger leonhard H.Herpetology of Japan and adjacent territory.Bull.US Natl.Mus58:xx:1-577.1907
Suzuki D,Ota H.Oh,H-S.and Hikida T.Origin of Japanese populations of Reeves’ pond turtle,Mauremys reevesii (Reptilia: Geoemydidae),as inferred by a molecular approach. Chelonian Conservation and Biology10(2):237-2548.2011