カメ類は異種間交雑を起こしやすいグループとして知られており、13科のうち8科から種間雑種が発生しています。交雑は同属間で起こることが多いですが、ウミガメ科、ヌマガメ科、イシガメ科では属間の交雑種も知られています〔上野ら 2015〕。ウミガメ類ではオサガメ、ヒラタウミガメを除く全種で属間雑種の報告があります〔上野ら 2015〕。その中でもニホンイシガメやクサガメを含むイシガメ科は交雑における生殖隔離機構が比較的弱いとされ〔Stuart et al.2007〕、ヒラセガメ×モエギハコガメ、ギリシャイシガメ×カスピイシガメ、ニホンイシガメ×クサガメ、クサガメ×ハナガメ、マレーハコガメ×アンナンハコガメ、ミスジハコガメ×ミナミイシガメ、クサガメ×マレーハコガメ、セマルハコガメ×リュウキュウヤマガメ、オルダムマルガメ×ハナガメ、ヨツメイシガメ×クサガメ、アカスジヤマガメ×カンムリヤマガメ、アカスジヤマガメ×クロムネヤマガメなど多くの交雑例が知られていますおり〔上野ら 2015〕。1986 年以降のにイシガメ科では13の新種が中国で記載されましたが、大半は香港の動物販売業者を通じた購入標本に基づいての発見で、その後野外で再発見されない等の混乱が生じました。新種記載のホオスジイシガメ(Mauremys iversoni)【ミナミイシガメ×ミスジハコガメ】とノコヘリモエギハコガメ(Cuora serrata) 【ヒラセガメ×モエギハコガメ】、プリチャードイシガメ(Mauremys pritchardi)について遺伝子解析により交雑種と解明され、抹消されました〔Parham et al 2001、加藤ら 2012〕。交雑種個体は、形態的に中間的な外貌を持つ個体から、どちらかの親の強い特徴が出現するなど個体差が幅広いです〔Vilaca et al. 2012〕。
Parham JF et al.New Chinese turtles: endangered or invalid? A reassessment of twospecies using mitochondrial DNA,allozyme electrophoresis and known-localityspecimens Animal Conservation 2001 4, 357-367.2001
Pritchard PCH, McCord WP. LA new emydid turtle from China. Herpetol47:138-140.1991
Stuart BL.Parham J.Recent hybrid origin of three rare Chinese turtles.Conservation Genetics1:169. 175.2007
Vilaca et al.Nclear markers reveal a complex introgression pattern among marineturtle species on the Brazilian coast. Molecular Ecology21(17)4300-4312.2012